吉川 敏一 氏
京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 教授 日本抗加齢医学会理事長
【略 歴】
昭和22年4月28日生
S48年3月 京都府立医科大学 卒業
S48年5月 京都府立医科大学附属病院第三内科 研修医
S51年4月 京都府立医科大学附属病院第三内科 修練医
S56年4月 京都府立医科大学第一内科学教室 助手
S58年5月 医学博士
S59年1月 米国ルイジアナ州立大学 客員教授
S60年8月 京都府立医科大学第一内科学教室 講師
H5年4月 東京大学先端科学技術研究センター 客員教授
H7年4月 京都府立医科大学第一内科学教室 助教授
H12年9月 京都府立医科大学第一内科学教室 教授
H15年4月 京都府立医科大学大学院医学研究科生体機能制御学 教授
H15年9月 京都府立医科大学東洋医学講座 教授(〜H.21年8月)
H16年5月 京都府立医科大学生体安全医学講座 教授(併任)
H17年6月 京都府立医科大学生体機能分析医学講座 教授(併任)
H18年1月 東京大学大学院農学生命科学研究科アグリバイオインフォマティクス 特任教授(併任)
H19年4月 京都府立医科大学大学院医学研究科免疫内科学(名称変更)教授/京都府立医科大学 予防健康医学講座 教授(併任)
H20年2月 京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 教授
H20年5月 京都府立医科大学がん免疫細胞制御学 教授(併任)
H20年7月 京都府立医科大学消化器先進医療開発講座 教授(併任)
H21年4月 京都府立医科大学医療センター所長(兼任)/ルイ・パストゥール医学研究所 所長(兼任)
現在に至る
【学会関係】
国際フリーラジカル学会 会長(H17.1月〜H18.12月)
日本酸化ストレス学会(SFRR-Japan)理事長
日本機能水学会 理事長
日本抗加齢医学会 理事長
日本予防医学会 副理事長
日本ハイパーサーミア学会 副理事長
日本消化管学会 理事
日本消化器免疫学会 理事
日本炎症・再生医学会 理事
日本ショック学会 理事
日本内科学会 評議員
日本消化器病学会 評議員・指導医
日本消化器内視鏡学会 評議員
日本ビタミン学会 評議員
【雑誌編集】
《Editor-in-chief》Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition(日本酸化ストレス学会オフィシャルジャーナル)、《編集主幹》G-I Research(先端医学社)、《Editor》Annals of Cancer Research and Therapy(Nihon Igakukan)/Bio Factors (IOS Press)/International Journal of Hyperthermia(アジアハイパーサーミア学会オフィシャルジャーナル)/Journal of Nutritional Science and Vitaminology(学会刊行センター)/Redox Report (Maney Publishing)/Annals of Nutrition & Metabolism (Karger)、《編集委員》炎症・再生(日本医学館)
【主な著書】
「フリーラジカル入門(先端医学社)」「続フリーラジカル入門(先端医学社)」「フリーラジカルの科学(講談社)」「フリーラジカルの医学(診断と治療社)」「よくわかる最新版ビタミンブック(主婦の友社)」「活性酸素・フリーラジカルのすべて(丸善株式会社)」「ビタミン・ミネラル早わかり(幻冬舎)」「不老革命(朝日新聞社)」「ヘルシーエイジングのすすめ(ブレーン出版)」「老化を抑える、抗酸化力(土屋書店)」「アンチエイジング教室(毎日コミュニケーションズ)」「いくつになっても年をとらない9つの習慣(扶桑社)」「食べて免疫力がUP! 病気に強くなる!1日1600kcalレシピ(PHP研究所)」「新しい考え方 ビタミンミネラル速効事典(土屋書店)
若々しい、生き生きとした顔貌を保つ秘訣と、病気や老化を防ぐ方法とが同じであることが最近の研究で明らかとなってきました。もちろん病気になれば若さが失われるだけでなく、楽しい生活を送れなくなることは誰もがよく知っています。しかし、病気を予防する方法と若さを保つのとが、同じ手段であることはあまり知られていません。すなわち一石二鳥なのです。
我が京都府立医科大学もいよいよ敷地内全面禁煙となりました。元来病気を治すべき病院や医者を教育する医科大学の敷地内で、いままでタバコを吸えたこと自体が驚きだったのです。このタバコの煙に含まれる数々の毒物は癌を引き起こす原因になるばかりでなく、血管に作用し、全身の臓器に悪影響を与えます。心臓などの大手術の2〜3ヶ月前には、タバコをやめてもらってから手術をします。タバコが悪影響を与えるからです。動脈硬化や糖尿病をはじめ数々の生活習慣病を引き起こします。まさに万病の元とも言えます。ところが驚いたことに、双子の姉妹のうちタバコを吸う人と吸わない人を比較すると吸う人の方がずいぶん老けて見えることがわかっています。すなわち病気の予防が見た目を若々しくしているのです。
運動が色々な病気を予防することもよく知られています。運動によって摂取した余分なカロリーを消費し肥満を防ぎます。筋肉細胞の中で糖分を利用し、血糖値を下げて糖尿病を予防します。さらには癌を予防するタンパク質も作り出すことが明らかとなりました。スマートな体型になり万病の元である糖尿病を予防し、さらに癌になりにくくなるなら、運動は妙薬にまさる事になります。
ストレスはそれが肉体的苦痛を伴うストレスでも精神的なものでも身体に悪影響を及ぼします。ストレス性の胃潰瘍をはじめ、色々な精神的疾患が生じます。また白髪を始めストレス性の肥満ややせが出現し、見た目の老化を進めます。
これらの変化はすべて身体の内外から発生する活性酸素によって生じています。タバコや大気汚染物質、紫外線などによる活性酸素による傷害を避ける事がまず必要です。次に適度な運動によって活性酸素を消去する力を増やし、ストレスによる活性酸素の身体の中での産生を防ぐ事などが重要です。十分な休養や気分転換が最適です。
活性酸素を消去する方法の一つに抗酸化物質を摂取することがあります。植物などは酸素や紫外線の傷害から身を守るために自ら抗酸化物質を作り出しています。私たちはこれらの植物などから、ビタミンCやフラボノイドなどの活性酸素を消去する、数多くの抗酸化物質を摂ることが出来ます。色とりどりの美しい植物の花や実は、これらのフラボノイドやポリフェノールなどの色なのです。トマトの赤い色がリコピン、ブドウやナスなどの紫色はアントシアニンなど、いずれも優れた抗酸化作用を示します。食事の際には色とりどりの野菜を十分に摂ることがアンチエイジングの秘訣です。
カロリーを70%に制限した赤毛サルの20年にわたる実験結果が発表になりました。驚くべき事にカロリーを制限するだけで毛並みや顔貌などの見た目は若々しく、糖尿病や癌、動脈硬化などの他に、脳の萎縮までが予防されています。もちろん死亡率も改善され、アンチエイジングの実践には、まずカロリーを制限することが重要であることが判明しました。摂取カロリーの制限は長寿遺伝子を活性する作用のあることがわかっています。腹七分目を心がけなければなりません。
十分な休養、適度な運動、腹七分目を心がけ、喫煙などの不摂生を避けてアンチエイジングを心がけて下さい。今までからよく知られていた長寿の秘訣がやっと学問的な裏付けで再度確認されてきました。頑張って健康長寿を目指しましょう。