『なぜ聖路加に人が集まるのか』
医療の質、医療の資質
『なぜ聖路加に人が集まるのか』
医療の質、医療の資質
著者:福井 次矢
出版社:光文社
【著者プロフィール】
聖路加国際病院院長、京都大学名誉教授、京都大学医学部卒、聖路加国際病院にて研修後、アメリカのコロンビア大学の聖ルカ・ルーズベルト病院実験心臓病学、ハーバード大学 ケンブリッジ病院内科に留学、ハーバード大学公衆衛生大学院修了、帰国後国立病院医療センター(現・国立国際医療センター)循環器内科、佐賀医科大学総合診療部教授、京都大学医学部附属病院総合診療部教授、京都大学大学院医学研究科臨床疫学教授を歴任。
深刻な医師不足、羅針盤のない医療政策、必ずしもよい臨床医を育てられない医学部の現実、加熱する医療事故報道で委縮する医療現場、モンスターペイシャンツ問題など、今日本の医療現場では、なにが起こっているのか―。京大大学院教授から聖路加国際病院院長になった著者が、日本の医療を取り巻く問題を考える。「最高の医療」を実現するために聖路加がしてきたことと、これからするべきこととは何なのか。
【第1章 理系の「できる子」は医師に向いているか】
18歳で職業を選択する不幸
臨床医という曖昧な仕事
理系の「できる子」は医師に向いているか
「診察より研究」の大学病院
強いスペシャリスト幻想
日本の臨床研究のレベル
「医局」というヒエラルキーの弊害
必然だった医局弱体化
体に異常を感じたらどうするか?
場当たり的な医学部定員増
【第2章 医師の育て方】
村のお医者さんに憧れて
聖路加の研修医に
「日野原回診」で学んだこと
アメリカでの「背が伸びるような」毎日
医療人類学にふれて
聖路加のインターン制度
どんな外科医にも初めての手術がある
伝統の「屋根瓦方式」
特定の臓器だけを診るクセをつけない
人の循環が理想の医療をつくる
【第3章 医療を崩壊させないために】
「何」が崩壊しているのか
医療費とパチンコ産業の市場規模
医療に充分なコストをかけているか
検査漬けはなぜ起きる
医療制度に正解はない
「病院たらい回し」報道と救急搬送の実態
応酬義務と病院経営をいかに両立させるか
開業ラッシュの本音
「聖職」が難しい時代
感情労働に耐えられなくなるとき
一枚岩になれない医療界
すべての医療機関への挑戦
【第4章 現場からの医療改革】
「国際病院」としての歩み
生きた有機体
セクショナリズムを排する
クレームは翌朝に解決
病院を守る
東京都中央区唯一の総合病院
厚生労働省と病院経営者のイタチごっこ
理想の医療には人手もお金もかかる
患者中心のチーム医療を実践する
医療は人
【第5章 「医療の質」とは何か】
総合医を増やす重要な意味
新たな医師供給システムを
EBMが医療格差を埋める
マスクの着用には根拠がない
医師にしかできない高度な判断
EBMで「よい病院」と「よい医師」が増える
医師と患者が同じ地平に立つ
愛想のよい医師はよい医師か
「医療の質」とは何か
「医療の質」を公開する
聖路加が一石を投じる
医療事故報告書の衝撃
不確実性と確立の狭間で
医療ドラマと現実の違い
注射をしないと治療を受けた気がしない
学校教育でヘルスエデュケーションを
【第6章 聖路加にメディカルスクールを】
ドイツ人が懐かしがる日本の医学部システム
メディカルスクールはなぜ優れているか
再浮上したメディカルスクール構想
メディカルスクールが「できない理由」
シンガポールの挑戦
聖路加にメディカルスクールを