池田 博之 氏
東洋テック株式会社 代表取締役社長
生年月日:1960年10月9日
1983年 | 3月 | 横浜国立大学経営学部卒業 |
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1983年 | 4月 | 大和銀行 入行 |
2000年 | 1月 | 同 塚口支店長 |
2001年 | 9月 | 同 総合企画部企画部次長 |
2001年 | 12月 | 大和銀ホールディングス 企画部次長 |
2002年 | 10月 | りそなホールディングス 企画部次長 |
2003年 | 10月 | 同 企画部(東京)次長 |
2004年 | 4月 | りそな銀行 大阪営業第三部長 |
2007年 | 6月 | 同 執行役員 奈良地域担当兼奈良営業本部長 |
2008年 | 4月 | 同 執行役員 奈良地域担当 |
2009年 | 6月 | 同 常務執行役員 コンシューマーバンキング部担当 兼ローンビジネス部担当 |
2009年 | 6月 | 埼玉りそな銀行 取締役 |
2009年 | 6月 | りそなホールディングス 執行役 商品企画部担当 |
2010年 | 6月 | 近畿大阪銀行 代表取締役副社長兼執行役員 コンプライアンス統括部担当 |
2010年 | 10月 | 同 代表取締役副社長兼執行役員 営業企画部担当兼営業サポート部担当 |
2011年 | 4月 | 同 代表取締役社長兼執行役員 サービス改革部担当兼経営企画部担当 兼営業企画部担当兼営業サポート部担当 兼人材強化戦略室担当 |
2011年 | 4月 | りそなホールディングス 執行役 グループ戦略部 (近畿大阪銀行経営管理)担当 |
2011年 | 6月 | 近畿大阪銀行 代表取締役社長兼執行役員 営業推進部担当兼人材強化戦略室担当 |
2011年 | 7月 | 同 代表取締役社長兼執行役員 人材強化戦略室担当 |
2012年 | 3月 | 同 代表取締役社長 |
2012年 | 4月 | 同 代表取締役社長兼執行役員 内部監査部担当 |
2013年 | 4月 | りそな銀行 代表取締役副社長兼執行役員 西日本担当統括 |
2013年 | 4月 | 近畿大阪銀行 取締役会長 |
2014年 | 4月 | 同 取締役 |
2015年 | 4月 | 埼玉りそな銀行 取締役 |
2017年 | 4月 | りそな銀行 取締役副会長 |
2017年 | 6月 | 東洋テック株式会社 取締役 |
2017年 | 6月 | 公益財団法人りそなアジア・オセアニア財団 理事長 |
2018年 | 3月 | りそな銀行 副会長 |
2018年 | 5月 | 一般社団法人関西経済同友会 代表幹事 |
2020年 | 6月 | 東洋テック株式会社 代表取締役社長(現職) |
2020年5月で、2年間務めた関西経済同友会代表幹事の任を退いた。就任当時より、私は「言いっ放しにならないようにスピード感を持って“実践する”」「ヒトとヒト、組織と組織、地域と地域を“繋ぐ”」という2点を重点課題に位置づけ、活動してきた。結果として、数多くの新たな取り組みを実現することができた。
この2年間を振り返ると、諸先輩方が尽力されてきた事が大きく花開いた結果として「2025年大阪・関西万博」の開催が決定した。また、ラグビーワールドカップやG20大阪サミットなど大規模な国際イベントも開催されたことに加え、新たな時代「令和」への改元も行われる等、時代を画するタイミングで代表幹事を務めさせていただいたことを大変嬉しく思う。
一方、2020年に入ってからは、新型コロナウイルスの感染拡大により、明るい話題で溢れていた状況は一変した。外食・サービス業を中心に、売上激減が避けられず、国からの支援金を受けても厳しい経営環境は続く。我々も当面の間、この先行き不透明な状況が続くことを覚悟する必要がある。
2019年度の関西経済同友会での活動では、「2025年、そしてその先へ~大阪・関西の新たな挑戦~」を事業計画のテーマとして取り上げ、2025年の大阪・関西万博開催後の大阪・関西の持続的成長を見据えて活動を行っていた。これからの大阪・関西が、“輝く都市”として持続的な成長を果たしていくために我々がすべきことは具体的に何か、産官学を挙げて知恵を絞らなければならない。
ここで、大阪・関西万博の誘致活動を少し振り返りたい。
2018年11月、パリで開かれた博覧会国際事務局(BIE)の総会で、「2025年大阪・関西万博」の開催決定という歴史的な瞬間に立ち会うことができた。万歳して大喜びしたが、誘致活動を通じて心に引っかかることがあった。各国の大使らに会って日本への投票を呼びかけたが、大抵は「OSAKA?」という反応だった。東京と京都は知っていても、欧米では大阪を知らない人が少なくないことにショックを受けたのだ。世界で存在感を発揮できる“輝く都市”を目指す大阪・関西にとって、万博は願ってもない機会であり、この機会を逃してはならない。
2025年大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン“Designing Future Society for Our Lives”」である。今回は、1964年の大阪万博のような国威発揚型から、世界が抱える多くの難しい課題を解決する課題解決型への変革が求められている。その意味で、今まさにグローバル規模の課題となっている”新型コロナウイルス“を乗り越えた姿を万博で示す意義は大きい。“先端技術”と“Well-Being”を組み合わせ、従来にない万博にしよう、というコンセプトが大きく変わる訳ではないが、目先で命が脅かされている状況下、もう一度“人の命”というものを見つめ直し、発信の方法を今後検討する余地はあるだろう。例えば、VR技術等を使えば実際に会場に来る必要は無いかもしれないし、近隣のサテライト会場の活用等により集中を避ける手段も有り得る。
目下、グローバル規模で最大の課題となっている「新型コロナウイルスの感染拡大」について状況を整理しておきたい。
本年2月上旬、中国・武漢に端を発した新型コロナウイルスは、急速に進んだグローバル化を背景に、全世界へ爆発的に拡大。3月11日には、WTOが「パンデミック(世界的流行)」を宣言、オリンピック延期も決定した。中国での感染拡大は落ち着きつつあるものの、欧州、米国、中東での急激な拡大、更にはアジアでの感染が再拡大するなど予断を許さない状況が続いている。生産活動の停滞、サプライチェーンの寸断、消費の急減等へと波及し、世界経済の大きな下押し要因となっている。今回の危機は、リーマンショックのような金融システムに起因するものではなく、「ヒト・モノの停滞」という実態経済を起因としている事からリーマンショックを超える危機への発展を懸念する声も出てきている。
私自身、銀行で金融危機やリーマンショックなど様々な危機を経験したが、カネを起因とする危機は終息に時間が必要で最低でも1年半から2年程度を要する。今回の危機はヒト・モノという実態経済に起因し、更にカネの問題へ波及していることから、ダブルパンチの危機的な状態と言える。政府も大規模な経済政策等を打ち出しており一定の評価はできるが、カネの対策だけでは、根本的な問題解決には至らない。ワクチンや検査体制等の早期構築に加え、中小企業の足元の資金繰り等への一日でも早い対応等、根本的な問題解決に向けた支援にも力を入れる必要がある。
“新型コロナウイルス感染拡大”という未曾有の事態は、従前の慣習を大きく覆しているという側面もある。例えば、企業の働き方は在宅でのリモートワークが急激に浸透し、学校教育でもオンラインでの授業等が進みつつある。
これらの例を見ると、このような時こそ経済界が一丸となって、経済の立て直しと将来の発展に向けた取り組みを強化することが重要であると感じる。今、我々の眼前に広がるのは100年に一度の事態であるが、いずれは終息する。その時にすぐさまギアをトップに入れられる体制構築の為しっかり準備しておくことが重要だろう。”ポストコロナ”の世界のあり方を描くためにも、苦しい今を何としてでも耐え抜かなければならない。
今後、大阪・関西ではワールドマスターズゲームズ2021関西、大阪・関西万博、MICE・IRの誘致等、ビッグプロジェクトが立て続けに控えている。今回の新型コロナウイルス感染拡大を受け、様々なリスクの想定、発生時の迅速な対応の重要性について再認識した。大阪・関西から「安心・安全」をいち早く世界に発信、アピールすることで魅力ある都市“大阪・関西”の実現への一歩とすべきである。
私は九州生まれだが、大阪に勤務して30年がたつ。これからも大阪に住み続けるつもりだ。子や孫の代まで安心して暮らせる街であって欲しいし、世界で存在感を発揮できる“輝く都市”にしたいと思っている。今後も一経済人として、微力ではあるが関西経済の発展に尽力してまいりたい。