アイデンティティ経済学
アイデンティティ経済学
著者:ジョージ・A・アカロフ+レイチェル・E・クラントン
(George A.Akerlof & Rachel E.Kranton)
訳者:山形浩生+守岡桜
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
【著者プロフィール】
ジョージ・A・アカロフ・・・カリフォルニア大学バークレー校 コシュランド経済学教授 2001年ノーベル経済学賞受賞
レイチェル・E・クラントン・・・デューク大学経済学部教授
【訳者プロフィール】
山形浩生
1964年東京生まれ、東京大学工学系研究科都市工学科修士課程修了、マサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程修了。大手調査会社に勤務するかたわら、科学、文化、経済からコンピュータまで、広範な分野での翻訳と執筆活動を行う。著書に、『訳者解説』(バジリコ、2009年)、『要するに』(河出文庫、2008年)、『新教養としてのパソコン入門』(アスキー新書、2007年)『新教養主義宣言』(河出文庫、2007年)、『たかがバロウズ本』(大村書店、2003年)など。訳書に、リーソン『海賊の経済学』(NTT出版、2011年)、レヴィティン『「歌」を語る』(ブルース・インターアクションズ、2010年)、エアーズ『その数学が戦略を決める』(文春文庫、2010年)、ケルアック&バロウズ『そしてカバたちはタンクで茹で死に』(河出書房新社、2010年)、ジェイコブズ『アメリカ大都市の死と生』(鹿島出版会、2010年)、アカロフ&シラー『アニマルスピリット』(東洋経済新報社、2009年)』など多数。
守岡 桜
翻訳家。
共訳書に、ハーツォグ『ぼくらはそれでも肉を食う』(柏書房、2011年)ボルドリン&レヴァイン『<反>知的独占』(NTT出版、2010年)、ショート『毛沢東(上・下)』(白水社、2010年)、サイド『非才!』(柏書房、2010年)、ブラックモア『「意識」を語る』(NTT出版、2009年)、オクレリー『無一文の億万長者』(ダイヤモンド社、2009年)、シンガー&エイヴァリー『地球温暖化は止まらない』(東洋経済新報社、2008年)など多数。
本書はアイデンティティ経済学の入門書であり、もっとも単純な方法で紹介するのが目的である。 なぜ人は一見筋の通らない行動をとるのか?より人間性を増した分析から、なにが得られるのか?自己認識を組み込んだ新しいモデルを構築する。
【第Ⅰ部 経済学とアイデンティティ】
【第1章 はじめに】
1・1アイデンティティ経済学の起源
1・2アイデアは波及効果を持つ
【第2章 アイデンティティ経済学】
2・1アイデンティティ、規範、効用関数
2・2社会的カテゴリー、理想、洞察
2・3すべてまとめると
2・4アイデンティティ経済学と需要/供給
2・5本書の構成
【第3章 効用におけるアイデンティティと規範】
3・1基本的な手法
3・2短期と長期の選択
3・3喫煙
【第3章 追記 ロゼッタストーン】
個人の選択と、効用関数の最大化
社会化の役割
厚生と効用の関係
構造と「アイデンティティの選択」
モデルとアイデンティティの定義
「べき」を定義する
個人主義的なアイデンティティと相互作用主義的なアイデンティティ
【第4章 今日の経済学での位置づけ】
4・1実験とアイデンティティ経済学
4・2アイデンティティ経済学、ゲーリー、ベッカー、嗜好
4・3経済学における規範
4・4規範はどこからくるのか
4・5まとめ
【第Ⅱ部 仕事と学校】
【第5章 アイデンティティと組織の経済学】
5・1労働インセンティブのアイデンティティモデル
5・2軍隊と一般市民のちがい
5・3モデルにおける動機
5・4軍隊
5・5民間の職場
5・6企業の下層部
5・7アイデンティティ経済と作業集団
5・8緩やかな監督:シカゴの機械工場
5・9厳しい監督:バンク配線作業観察室
5・10統計的証拠:アメリカ中西部の製造工場
5・11リンカーン・エレクトリック社:例証か反例か?
5・12軍隊の作業集団
5・13経済学と集団規範
5・14目的の共有と方針をめぐる結論
5・15まとめ:アイデンティティ経済学の応用と、導き出された新しい結論
【第6章 アイデンティティと教育経済学】
6・1生徒と学校のアイデンティティモデル
6・2モデルと証拠:ハミルトン高校からショッピングモール高校まで
6・3奇跡の学校と学校改革
6・4私立校 対 公立校
6・5人種と学校教育
6・6アイデンティティ経済学と教育の需給
6・7アイデンティティ、学校の目標、学校選び
【第Ⅲ部 性別と人種】
【第7章 性別と仕事】
7・1労働市場のアイデンティティモデル
7・2理論と証拠
7・3アイデンティティ経済学と新しい結論
7・4性差別禁止法
7・5性別と労働供給と家庭
7・6結論
【第8章 人種とマイノリティの貧困】
8・1従来の差別の経済学
8・2アイデンティティ理論の基盤
8・3貧困と社会的排除のアイデンティティモデル
8・4理論と証拠
8・5救済策の可能性
8・6政策:アファーマティブ・アクションと職業プログラム
8・7結論
【第Ⅳ部 今後の展望】
【第9章 アイデンティティ経済学と経済学の方法論】
9・1理論と証拠
9・2細かなことの観察
9・3因果関係
9・4実験
9・5「紳士的」な距離という問題
【第10章 結論、そしてアイデンティティが経済学を変える五つのやり方】
10・1個人の行動
10・2外部性
10・3カテゴリーと規範をつくる
10・4アイデンティティと後悔
10・5アイデンティティの選択
10・6結論