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「堺市健康・医療まちづくり推進 産学公民共創シンポジウム」開催報告

2017年12月5日

「堺市健康・医療まちづくり推進 産学公民共創シンポジウム」を9月15日(金)13時30分より、サンスクエア堺(堺市立勤労者総合福祉センター)において、堺市主催(事務局:株式会社健康都市デザイン研究所)で開催させて戴きました。
経済産業省近畿経済産業局様、大阪府様、堺商工会議所様、公益財団法人堺市産業振興センター様、一般社団法人日本医療機器産業連合会様、関西公立私立医科大学・医学部連合、一般社団法人医療国際化推進機構からのご後援を賜り、厚く御礼申し上げます。経済界、学界、医学界、経済団体、行政機関等から280名を超える方々にご参加戴き、盛大に開催出来ましたこと心より御礼申し上げます。
本シンポジウムは「健康医療産業創造都市」に成長する可能性を有する堺市において産学公民が有機的に結びつき、健康・医療のまちづくりに関する志を共有し、知恵を出し合うコンソーシアム形成のスタートアップになるシンポジウムとなりました。堺市の健康・医療まちづくりの推進を目指し、WHO健康開発総合研究センター 所長 サラ・ルイーズ・バーバー博士に招待講演、経済産業省 商務・サービスグループ 商務・サービス政策統括調整官 内閣官房 健康・医療戦略室 次長 江崎禎英氏に基調講演、近畿大学医学部 学部長 伊木雅之氏にご講演を賜りました。

Ⅰ. シンポジウム
主催者挨拶:堺市副市長 田村 恒一 氏
只今ご紹介にあずかりました堺市副市長の田村と申します。お忙しい中このようにたくさんお集まり戴きまして誠に有り難うございます。堺市健康・医療まちづくり推進 産学公民共創シンポジウムの開催に当たり、堺市を代表してご挨拶させて戴きます。
本市では近畿大学医学部・付属病院の立地を契機に、地域の方々の健康志向生活の実現と幅広い民間投資を通じて、多世代が安心元気に暮らせる活力あるまちづくりを進めることを目指しています。このシンポジウムはそのキックオフイベントとなるものであります。
本日はWHO健康開発総合研究センター所長のサラ・ルイーズ・バーバー博士をはじめ、経済産業省の江崎政策統括調整官、近畿大学医学部の伊木学部長のご講演を戴いた後、パネルディスカッションをして戴きます。健康医療を切り口としたビジネス活性化や魅力あるまちづくりに向けて産学公民がどのように取り組むべきかについてご示唆戴けるものと考えます。
ご存知の通り、本市をはじめとする南大阪には、優秀な企業や学術機関、医療機関があり、関西国際空港という世界への窓口があります。この地の利を活かし、また、産学公民がそれぞれの強みを活かせば南大阪地域が健康医療分野における優れた研究成果やビジネスチャンスを生み出す地として世界に発信することも可能であると考えます。その為に、相互に知恵を出し合い、活力溢れる健康・医療のまちづくりに繋げていく為の幅広い連携が必要であると考えます。
本市と致しましては、本シンポジウムの開催を契機にコンソーシアムの形成を図る所存です。本日、御臨席の皆様におかれましては是非ともご協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、本日お越しの講師の方々、客席の皆様方の益々のご活躍とご多幸・ご健勝をお祈りして私の挨拶とさせて戴きます。本日は本当に有り難うございます。

第1部 ご講演
招待講演として、WHO健康開発総合研究センター 所長 サラ・ルイーズ・バーバー博士に「WHO神戸センターの新研究戦略 ~UHCの推進~」、基調講演として、経済産業省 商務・サービスグループ 商務・サービス政策統括調整官 内閣官房 健康・医療戦略室 次長 江崎禎英氏に「次世代ヘルスケア産業の創出 -生涯現役社会の構築を目指して-」、ご講演として、近畿大学医学部 学部長 伊木雅之氏に「近畿大学医学部と健康医療都市堺」と題し、大変貴重なご講演を賜りました。

招待講演:WHO健康開発総合研究センター 所長 サラ・ルイーズ・バーバー 博士
「WHO神戸センターの新研究戦略 ~UHCの推進~」
① 招待講演:サラ・ルイーズ・バーバー 博士

田村堺市副市長、ご列席の皆様、今日は高齢化社会に向けて持続可能なユニバーサルカバレッジ、発展させて戴く機会を戴きまして有難うございます。今日は堺市にお招きいただきまして、高齢化社会の中ですべての方を含む健康社会を築くコンソーシアムに参加できること、大変、嬉しく思っております。
私はWHO神戸センターに比較的最近、2017年5月に参りました。我々は本センター設立後、20年を経過し第三期に今、入っております。そしてこの機会に新しい戦略を策定いたしました。現在、WHO神戸センターには2つの戦略目標がございます。

1つ目は、保健制度の変革に向けて、研究・エビデンスの構築のサポートをしております。優先事項としましては、サービス、提供、そして社会との連携を行うということでございます。そしてまた、神戸という地におきまして災害の経験を発信する、そしてその強さを発揮するといった、そういった窓口になることも重要です。

2つ目には、高齢化の進む社会の中でユニバーサル・ヘルス・カバレッジを推進する社会、技術、システムのイノベーションを開発するということでございます。
私の今回の発表は3つのテーマがございます。1つ目は「高齢化」です。2つ目は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、保健を、「人権」として捉えるということでございます。これはいかに保健政策を行っていくか、その設計に意味があります。そしてまた3つ目は、具体的な政策課題についてお話をします。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進のための課題です。

「高齢化」は、世界の中で保健制度を考える中で大きな課題です。このグラフは国連が出している統計・資料でありますけれども、これによりますと60歳以上の人口の方が大部分アジアの地域に居られることになるということです。2つ目に言えることは、このグラフでは、80%以上の高齢者が、低・中所得国に住んでいるということです。高齢化問題は日本を始めとする先進国の問題だけではなく、全世界の問題となります。

変化は早く起きておりまして、これはWHOの資料ですけれども、2000年から2015年の間に平均寿命が5年以上延びております。これは公衆衛生の成功の賜物であります。これは乳幼児死亡率の低減、そして感染性対策といった取組みが功を奏しているということです。このグラフを見て戴きますと、60歳以上の人口が、数の上でも割合の上でも、全体の地域を通して増えているということがわかります。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジは、多くの政府の共通の取組みとして行っております。第二次世界大戦後、ヨーロッパにおいて、そして日本でも大きな進展が見られました。これは、国連の加盟国が1948年に発表した「世界人権宣言」の中に保健が社会問題であるとか、社会の結束を促すものとして示されております。保健を「人権」として捉えるということ、これが社会サービスのデザインに関わってまいります。公平、公正、社会連帯といったことを反映します。健康・保健衛生は、役得や利権ではなく、全ての人類の権利であるということです。このユニバーサル・ヘルス・カバレッジを徐々に実現していくにあたりまして、問題は多くの国で共通のものがあります。それは医療費の上昇、そして高額医療費から守る手段がないということ、医療の質がバラバラであるということです。

このプレゼンテーションでは医療サービスの提供につきまして、現実的な観点をお話したいと思います。1つはお金の問題、そしてソースの問題、そして2つ目は提供するモデルが適切かどうか、そして様々な管理の問題です。そして3つを通しまして、この高齢化が政策対応にいかに反映されるか、影響を与えるかということです。

これは健康寿命に影響を及ぼすリスク、例えば、心臓病、癌、糖尿病といった慢性疾患等、そういったものを反映した健康寿命の図です。高齢化におきまして、慢性疾患の患者さんが増えてまいります。高齢化によりまして平均寿命は伸びておりますけれども、これにより全体的な健康の方の医療費、生活の質が下がってまいります。日本は高血圧や糖尿病といった慢性疾患等への予防医療に力を入れてまいりました。

この脳卒中の死亡率が急激に降下をしております。日本は健康保健政策に力を入れています。そしてご存知の通り、1960年代、日本は公衆衛生そして医療に力を入れてこられました。その結果、日本は最も健康な、そして、最も高齢化が進んでいる国ということをWHOの統計が示しております。WHOは日本が予防医療に早期の投資をした経験を他国に対して広めていきたいと思っております。

このユニバーサル・ヘルス・カバレッジを実現するための社会サービスにどれだけの投資が必要かということをWHOのほうで試算をしております。金額はその人口、そしてその必要な投資をされるサービスの種類によって大きく異なります。「保健は人権である」という考えに基づきまして、この制度は、全体・全人口をカバーすることになります。正式な雇用が多くないような社会では、地域ベースでの対応というのは難しくなります。こういった低所得国、正式な雇用された就業者が少ない国では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを行うには、間接的なもの、例えば、間接税、タバコ・アルコール税 あるいはその他の税に頼らざるを得なくなります。そして日本のような先進国で、税の徴収が上手くできている国では、直接税ですとか保険という形となります。

どちらの場合におきましても、公的な財源をどのように配布していくか、現在のかたち、そして将来に向けてそのニーズを見極めていく必要があります。そしてもうひとつ、関心をもたれていることは、高齢化が医療費にどのような影響を与えるかということであります。高齢者が増えてまいりますと、一般的には医療ニーズへの需要が多くなってまいります。そして高齢者は慢性疾患を複数抱えている場合が多くなります。

このグラフは、年齢別の1人あたりの医療費支出が、1人あたりのGDPに占める割合を3つのOECD諸国で見た場合です。共通に言えることは年齢が高くなるにつれ、この医療費が増えていくということです。しかし、この3つの国で大きな差があります。これは何が違うのでしょうか。この支出、金額の違いというのは、サービス提供モデルが違うからです。医療費にどのくらいかかるかというのはその医療の提供の方法によって変わってきます。

これは3つの国で医療費の内訳について認知症を例にとって見たものです。3つの国は医療の提供システムの違いによって、この費用を異なったように振り分けております。その資金がいくらいるかという問題に戻りますと、その政策の選択が重要です。どのような医療サービスを提供するか、その政策の選択によって金額は異なるということです。この高齢化が医療費に与える影響ですけれども、高齢化が進んでいくにつれ、状況が悪くなっていく、医療費が高くなることがあります。

例えば、一般によくみられる病気で病院にかかるということが、プライマリーケア:かかりつけ医にかかるよりもコストが高くなります。そしてこのサービス、医療提供者・病院に支払う金額・費用といいますのはその質よりも量によることがあります。

欧米で医療費が高騰している最も重要な理由としましては、新しい診断・技術や薬に投資をするということであります。これが十分現状よりも改善するかどうかわからない状況も含めてです。この保健政策を設定し、そして提供して「資金提供を行える」ということが、プライマリーヘルスケアには重要です。病院中心から患者中心に変革していくということです。

この図では患者中心になっております。日本のこの地域包括ケアモデルは、国際社会に対して紹介できるモデルとなっております。そしてこのモデルにつきまして、今日、詳しくお聞きしたいと思っております。
この保健医療を最適化するということは、様々な改革が必要です。人々の認識の変革も重要です。慢性疾患にかかっている患者さん自身がよりセルフケアできるようにしていくということも重要です。ユニバーサルヘルスケアは医療サービスとセルフケアのバランスが重要になっております。保健のためのガバナンスとは保健に投資をしていくということを重視するということです。もう一つのガバナンスとしましては、地域社会、NGO・個人と協力をしていくということであります。この協力によりまして、より良い保健のために、全ての力、全力を総集して参画をしていくことが必要となってきます。

そして最後に、技術のイノベーションの重要性についてお話しします。既存のテクノロジーは更新していくのが少しゆっくりだということがあります。新しいテクノロジーにより、その「質の良い医療」を「低コスト」で提供することが出来ます。それにより、その医療制度を広く行き渡らせ、個人や家族やコミュニティに力をつけていくことが可能になります。

ポイントは、事態は急を要するということです。公的な医療、保健に対する介入が今後50年において重要になってきます。資金の提供と同時に、サービスの提供、その質の向上が重要になってきます。そして、財政と医療の質を総合的に統合したケアが必要となってきます。政府はもちろん、医療業界だけではなく多くの関係者とともに、総力を結集することが重要となってきます。そして最後に、イノベーションこそがより飛躍的な進歩を遂げることになることを強調したいと思います。効率をあげて、人材を確保し、保健制度を広く行き渡せることが重要です。有難うございました。

基調講演:経済産業省 商務・サービスグループ 商務・サービス政策統括調整官
内閣官房 健康・医療戦略室 次長 江崎 禎英 氏
「次世代ヘルスケア産業の創出 -生涯現役社会の構築を目指して-」
② 基調講演:江崎禎英様

本日は、日本の喫緊の課題であり、世界的にも重要課題になりつつある「高齢化」について、従来とは異なる視点からお話ししたいと思います。
まず、最初に申し上げたいのは、「高齢化」の問題が議論されるとき、多くの方々が出発点を間違えているのではないかということです。誰もが長生きしたいと願い、経済の豊かさと医療技術の発達によってそれが可能になれば、社会は必ず高齢化します。本来、「高齢化」は悪いことではないのです。しかし、一般に「高齢化」と言えば、経済活動の鈍化や社会保障財政の逼迫など暗い話題ばかりが先行し、若い世代がお年寄りをどうやって支えるのかという負担論に終始しています。本日のシンポジウムでは、視点を変えることによって、この問題への対応の方向性を探りたいと思います。

現在、日本は「超高齢社会」と言われていますが、単に高齢化を誇張して「超」という文字を付けているのではありません。高齢化を示す表現には、WHOや国連などが定めた定義があります。具体的には、全人口に占める65歳以上の高齢者の割合を「高齢化率」と言いますが、これが7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」となります。7の倍数が基準になっています。ちなみに、現在の日本の高齢化率は、昨年9月現在で27.3%です。間もなく「超高齢社会」の定義をも超える状況になります。しかも、日本の高齢化率は今後更に高まると予想されているのです。

では、なぜ日本はそんなにも高齢化が進むのでしょうか。多くの方々は、高齢化の原因は長生きするお年寄りが増えているからだと思っておられるのではないでしょうか。確かにこれまでの高齢化にはそうした要素が大きかったのですが、今後日本では、65歳以上の高齢者の数は殆ど増えません。その一方で、64歳以下の若い世代が急速に減少します。この結果、日本の高齢化率は今後更に高まっていくのです。

それなら、少子化対策に全力を注げば良いではないかと考える方も多いでしょう。しかし、少子化対策だけで高齢化の流れを止めることはできません。なぜなら、現在の日本の出生率(一人の女性が生涯に産む子供の数:「合計特殊出生率」)は、昨年のデータで1.4人ですが、仮に明日から突然第一次ベビーブーム並みの出生率4.3人になったとしても、人口減少が止まるまでに約60年掛かるとの試算があります。これは、出生率が上がっても子どもが産める年齢の女性の数が大幅に減少するため、子どもの数はさほど増えないことが原因です。勿論、少子化対策は重要な政策ですが、これによって人口構造を変え、高齢化率を引き下げるのは容易ではないのです。

我々は何をすれば良いのでしょうか。これを考えるために、従来とは異なる視点で高齢化の問題を考えてみたいと思います。多くの方々は、社会保障財政の逼迫や経済活動の鈍化は、高齢化そのものが元凶であると捉えているため、つい「高齢化対策」という言葉を使ってしまいます。「対策」と言う表現は、あたかも歳を取ることが悪いことであるかのような印象を与え、お年寄りの方々に肩身の狭い思いをさせ、ひいては政策そのものの方向性を間違えてしまう可能性があるのです。

ご存知の方もあるかと思いますが、「ヒト」という種族、つまりホモサピエンスに与えられた生物学的な寿命は、約120年と言われています。このことは、古くは「旧約聖書」にも書かれています。また、最近では人間の細胞分裂には限界があり、分裂する度に「テロメア」という回数券が一枚ずつ切り取られることが分かってきました。この回数券を最後まで使い切ると生命体は必ず死を迎えますが、その期間は理論的に約120年になるそうです。ちなみに日本では60歳を「還暦」と呼びますが、「還暦」という字を実際に書いて頂くと、「暦が一周した」という意味であることが分かります。つまり、人は健康で長生きすると暦が2周することは昔から知られていたのだと思います。

ただ、昔は栄養状態や衛生状態も悪かったため、感染症などによって2周目の人生を生きられる人はそれほど多くありませんでした。日本でも1980年代までは1周目を生きる方が人口の大半を占めており、制度も政策もこれを前提に組み立てられてきました。このため、会社をリタイアした後は「余生」と呼ばれたのです。しかし、超高齢社会においては、60歳以降の2周目の人生を生きる方が人口の3割近くになりました。しかも平均寿命は男女ともに80歳を超えているのです。今や2周目の人生は、決して「余生」などではありません。問題は、この2周目の人生をどう生きるかというテーマに個人も社会も十分に対応できていないことなのです。

それでは、そうした視点に立ってもう一度問題を見直してみましょう。まずは、歳を取ることと虚弱になることとの関係です。

現在、日本は男女ともに「平均寿命」が80歳を超え、世界でもトップクラスの長寿国です。しかし、私達にとって本当に大切なのは、「平均寿命」ではなく「健康寿命」です。「健康寿命」とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送ることができる期間のことを意味します。日本では現在、平均寿命と健康寿命に大きなギャップが生じています。このギャップは、男性で平均約9年、女性で約13年もあり、医療費の殆どはこの期間に使われているのです。

こう言いますと多くの方から、「人間は80歳にもなれば体が弱るのは当然だ。医療や介護のお世話になるのは仕方がない。」とお叱りを受けそうです。しかし、本当にそうなのでしょうか?この点について、東大の秋山弘子先生が大変興味深い調査研究を行っています。この調査研究は、20年間に亘って約2,000人の高齢者の方を追跡して、人はどのように弱っていくかを調べたものです。

この調査研究によれば、女性の場合、約9割の方が70歳を越えた辺りから徐々に体が弱り始め、年を追う毎に虚弱化が進みます。残りの1割の方は、60代初め頃から 急速に体調を壊し長い闘病生活に陥っていることが分かりました。男性の場合も7割の方が年とともに弱り、2割の方が早めに体を壊して長い闘病生活に陥ります。しかし、興味深いことに男性の約1割は、高齢になっても健康状態はずっと維持されたままであることが分ったのです。

ちなみに、高齢になっても健康が維持される約1割の男性は、中小企業の会長にその例が多いのだそうです。皆さんの周りにも思い当たる方がいらっしゃるのではないでしょうか。彼等が健康なのは、毎日美味しいものを食べ、社会の役に立っているという実感を持っていることがその理由とされています。この調査研究は、十分な栄養を摂取し、社会的役割を持ち続けていれば、人は年をとっても必ずしも虚弱化するわけではないという事実を示しているのです。

しかし、こうした話をするとすぐに「定年延長」の話が出てきますが、個人的にはこれが正しい解になるとは思っていません。1周目の人生では子育てや家族を養うために頑張らなければなりませんが、2周目の人生ではそうした負担は大きく軽減されます。単なる定年の延長では、若者の仕事を圧迫するだけです。

子育てを終えた高齢者にとって重要なのは、働いて収入を得ること以上に、社会的存在としての自分の居場所を確保し、社会の役に立っているという実感を持ち続けることです。最低賃金法との兼ね合いもありますが、「労働」でなく「社会貢献」との位置づけで、多少の収入にもなるという仕組みを作ることが求められます。しかも、そうした仕組みによって1周目の人達の生活や子育てが楽になることが重要なのです。

例えば、海外勤務経験のあるお年寄りに学童保育で英語を教えて頂いたり、80代の高齢者の方々に中学や高校の社会の授業で戦争体験を語って頂いたり、貧困層の子ども達のために一人暮らしのおばあちゃん達に朝食を作って頂いたりと、既に各地で様々な取り組みが始まっています。また、園芸や農作業など高齢者が土に触れることはとても重要です。手間暇を掛けて育てた野菜の価値は食べれば分かります。大規模化・効率化一辺倒の農業政策も見直しが必要だと思っています。時間に余裕のあることの価値をもっと見直すべきではないでしょうか。

次に、社会保障制度の問題を見てみましょう。

現行の社会保障制度は、1960年代から80年代にかけて整備されてきましたが、元々は結核に代表される感染症から労働者を守り、経済成長を維持することが目的でした。具体的には、国民皆保険制度によって、年齢や性別、財産の有無に拘わらず誰もが平等にその時々の最高の医療を受けられるようになりました。その後老人福祉の観点から70歳以上の高齢者の医療費の無償化も実現したのです。こうした制度によってそれまで日本人の死因のトップであった結核は劇的に減少したのです。

では、なぜ日本ではこのようなことが可能だったのでしょうか。この時代、65歳以上の高齢者は全人口の1割にも満たない水準であり、ごく少数の高齢者を多くの生産年齢人口が支える構造でした。この結果、「ジャパン・アズNo.1」と言われた経済力を背景に高齢者を含めて非常に手厚い社会保障サービスを提供することができたのです。しかしその一方で、医療サービスは労働者がケガや感染症などに罹った際の「治療」に主眼が置かれていたため、「予防」という機能はあまり重視されてきませんでした。

現在、どのような病気で治療を受け入れたかを示す「医科診療費」を見ると、その約3分の1が生活習慣病関連になっています。社会保障費の問題では、40兆円を超える医療費の財源をどう確保するかといった話ばかりに注目が集まっていますが、適切に健康管理を行い、生活習慣を改善すれば、相当程度予防することができるのです。しかし、現実には、そのような取り組みによって医療費が減ったという話はほとんど聞きません。それどころか、健康診断で糖尿病のおそれがあると注意を受けた人や軽度糖尿病の診断を受けた人の多くが、実際には何もしてないと言われているのです。

ちなみに、平成20年に導入された「特定健康診査」は、40歳以上の国民全てが受診することになっているのですが、現実には対象者の半数以上が受診していません。仮に未受診者の全員が受診し、実際に受診した方々と同じ比率で患者が見つかったとすれば、現在約472万人もの方々が直ちに病院に行かなければならない計算になります。これらの方々の多くは症状が悪化して初めて治療を開始するため、検査や治療内容は身体的にも財政的にも負担の大きなものになります。

つまり社会保障制度の問題は、財源論や負担論ではなく、主たる病気が感染症から生活習慣病に変わっているにもかかわらず、制度はそのままになっていることです。この結果、健康管理に努めていようが、不摂生な生活をしていようが、病気になれば全く同じように医療費の給付が受けられるのです。しかも、働く世代が予防に取り組むための環境は決して十分ではありません。

生活習慣病は、若い頃から健康に注意を払っていればかなりの程度防止できるはずですが、1周目の時代は日々の仕事に追われ健康管理は後回しになっているのが実情です。こうした状況を変えるためには、何と言っても経営者を始めとする職場の意識を変えることが重要です。その上で、従業員が健康管理に取り組み易い環境を整えるとともに、これまで健康に関心が低かった人でも健康管理の重要性を実感できる仕組みを創ることが必要なのです。

次に、認知症について見てみましょう。

認知症は高齢社会における重要課題とされていますが、2012年時点で日本には約460万人の認知症患者がおり、2025年には700万人に達すると言われています。東京都の調査によれば、要介護認定者の4分の3以上が何らかの認知症の症状を示しているそうです。また、慶応義塾大学の研究によれば、2014年時点で認知症に対する医療費は1.9兆円ですが、介護費用や家族の負担も含めたコストの総額は約14.5兆円と推計されています。将来、認知症患者が700万人を超えると社会的コストは尋常でない規模になります。事実、介護費の伸びは、医療費の伸びを遥かに上っているのです。

平成12年に導入された介護保険制度は、いわゆる「社会的入院」の受け皿を整備するとともに、自宅介護に苦しんできた家族の負担を軽減するという所期の目的はある程度果たしたと思います。しかしその一方で、給付金を上限まで使わなければ損とばかりに、「依存」体質の高齢者を増やし、その自立を大きく毀損した面もあります。特に、介護施設で暮す多くの入居者から「何もさせてもらえない。」という悩みを持ち、急速に認知症が進行してしまう現状に目を向ける必要があります。

あくまで個人的な意見として申し上げれば、最近急速に増えている認知症は病気というより、高齢者が自分の社会的価値を認められないことのストレスに対する自己防衛なのではないかと思っています。高齢者が認知症になるとQOL検査の結果が急上昇するという事実がそれを物語っているような気がします。特に、社会的役割を持ち続けている高齢者や、畑仕事をしている高齢者に認知症が少ないことを考えれば、軽度の認知症の方々を単に医療や介護の対象として社会から隔離してしまう現在の介護の在り方は見直しが必要かと思います。

現在行われている社会保障制度改革の議論は、満杯の客で沈みそうになっている豪華客船に更に多くの客をどう乗せるかという話に似ています。この結果、座席が足りないとか、一人当たりのスペースが狭くなるとか、多くの問題が噴出する中で、椅子やテーブルの並べ替えばかりを議論しているようなものです。椅子やテーブルをどう並べ替えようと、船が沈むことには変わりありません。必要なのはどうやって乗船客を減らすかです。歳をとれば当然のように医療や介護のサービスに頼るのではなく、リタイアした後も社会との繋がりを持ち続けて自律した生活を送れる環境をどう整備するのか。あらゆる関係者が連携してこの課題に取り組むことが必要です。

以上をまとめますと、超高齢社会に適切に対応するためには、生涯現役を実現できるハイブリッドな社会を築くことが必要だと思います。資源に恵まれない日本において全ての人々が豊かに暮らすためには、まずは1周目を生きる世代に高い付加価値を生み、国際競争に勝っていただく必要があります。しかしその時期にあっても、きちんと健康管理ができるよう、健康経営の推進など環境整備を図るとともに、健康をサポートする様々な商品やサービスの開発が必要です。

次に、2周目の人生を自律して生きる続けるためには、経済活動や社会活動への緩やかな参加を可能にする社会の仕組みを整備する必要があります。特に、自分が社会の役に立っているという実感を持てる活動が重要です。つまり、お年寄りにとって、「尊敬されたい」、「ありがとう」と言われたいというニーズを満たすことのできる選択肢を社会全体でより多く作ることが求められているのです。

繰り返しになりますが、人が健康で長生きすることを求めれば、社会は必ず高齢化します。私たち人類に与えられた120年という時間を、如何に有効に使い、自分の人生を「生ききる」か。特に、1周目の人生を生きる人々が、安心して働き、子どもを産み育てる上で障害となる社会課題の解決に2周目の方々が貢献することができれば、豊かで安定した社会を築くことができます。

全ての人々がそのことを理解し、全ての関係者が連携し、協力することができれば、日本は世界で最も素晴らしい「超高齢社会」を実現することができます。そしてこのことが、今後高齢化が進む世界の国々が目指すべき重要なモデルを提供するという、日本が果たすべき国際貢献になるのではないでしょうか。これからの堺市の取り組みが社会を牽引して下さることを心から願っております。

講演:近畿大学医学部 学部長 伊木 雅之 氏
「近畿大学医学部と健康医療都市堺」
③ ご講演:伊木雅之様

近畿大学医学部は平成35年4月に泉ヶ丘に新築移転をします。近畿大学医学部附属病院は南大阪唯一の大学病院として、これまでも高度急性期の医療を提供し、先端的な医療も提供してきました。泉ヶ丘に移転して、それをさらに大きく発展させていきたいと思っています。
近畿大学医学部単独でできることは十分にあると思いますが、単独でやるよりも、この地域の取り組みと共同できれば、1+1が2ではなく、3にも4にもなり、場合によっては、かけ算になる、そのような効果が期待できると考えています。そのような意味で、こういう産学公民共創のシンポジウムが開かれて、そのような体制をつくる一歩が踏み出せることは有難いと感じています。

近畿大学というと、日本で一番活力のある大学、元気な大学と言われていますが、その一つの原因はマグロでしょう。マグロ大学と言う人もいます。我々医学部にとっては、マグロも少々食傷気味で、マグロだけではないと思っています。
その声が聞こえたのか、『Newton』という科学雑誌が近畿大学の特集を組んでくれました。やはりクロマグロが中心ではありましたが、それ以外にも、マンモス復活プロジェクト等があります。これは、生物理工学部で取り組んでいるプロジェクトで、冷凍のマンモスを掘り出して、そこからマンモスを再生します。また、癌については、医学部が癌を引き起こす分子をやっつける分子標的薬を開発しています。

近畿大学は医学部をはじめ、全部で14学部、48学科あり、大学院の研究科は11あります。西日本を代表する総合大学だといえます。そのスケール感をお話しするために、以下の数字を持ってきました。
志願者数は一般入試だけで12万人であり、これは全国1位であります。推薦入試も含めると、16万人という膨大な数になり、全国1位は4年連続となっています。学生数は約3万人で、西日本では2番目の大きさです。3万人もいると、色々な人がいます。バラエティに富んでいることが近畿大学のエネルギーの一つだと考えています。
近大出身の社長数は西日本で一番多く、近畿大学には経営学部、経済学部といったビジネス関連の学部があるので、そうしたことが功を奏しているのだろうと思います。
民間企業からの受託研究の件数は全国2位、研究費受入額は3位。近畿大学のモットーは、世の中の役に立つための実学であり、そういうことが民間企業からの受託研究の多さにつながっているのだろうと思います。

世界大学ランキングは、トムソンロイター等多くのところから出されています。西日本の私立大学の中で1位になっています。高校の進路指導の先生方にアンケートをとった結果、改革力が高い、研究力が高い、という評価で1位になったのが近畿大学であります。
医学部付属病院では、肝臓癌のラジオ派焼灼術の件数は近畿大学が最も多くなっています。肝胆膵癌の手術数は3位。鼓室形成術は難聴の治療法で、これが4位。頭頸部癌は4位、胃癌、食道癌は5位。近畿大学医学部は、癌の診療に力を入れています。

近畿大学は大きく変わろうとしており、今ある近大を超えようという「超近大プロジェクト」があります。そのために東大阪の本部が改造中であります。新しい図書館ができ、CNN Cafeでは、いつもCNNの英語放送が流されており、学生の目を世界に開かせようとしています。
この図書館は小さいスペースに区切られているところがいくつもあります。そこにはテーマごとに本が並べてあります。入門書の漫画もあります。学生はその入門書を見て興味を持ったら、図書館の本館に行き、もっと専門的な本を探す、といったことを想定しています。写真にあるガラス張りの小部屋は自習室で、学生が自由に使えます。24時間365日使うことができます。大きな部屋に多くの学生を入れて講義をするというスタイルをできるだけなくし、小さいところでグループ学習、あるいは自己学習をできるようにしたいと考えています。

近畿大学は14学部、11研究科という大きな大学なので、企業の皆さんにとっては相談したいと思っても、どこに話をしにいけばよいのかがわからないということがあると思います。そこで、近畿大学では近畿大学リエゾンセンター(KLC)を作っています。リエゾンとはフランス語で、連絡、つながり、という意味です。このリエゾンセンターに連絡して戴くと、近畿大学のどの学部のどの学科の誰が一番その相談に合っているかを探してくれます。問題が解決するまでサポートするので、何かあれば、このリエゾンセンターにご相談戴きたいと思います。

民間企業からの受託研究の件数は右肩上がりに増えており、最近は2位となっています。近畿大学が世の中の役に立つ研究を奨励し、「実学教育」「実学研究」を近畿大学のモットーとしていることが、こういう受託研究の多さに結びついていると思います。

研究成果は論文数で表されることが多いですが、論文数は研究者の多いところでは当然多くなります。例えば、東京大学、大阪大学、京都大学の旧帝大にはたくさんの学部があり、たくさんの研究者がいるので、たくさんの論文が出ます。最近では論文の量よりも論文の質を重んじる傾向があります。論文の質をどのような指標で測るかというと、その論文が他の論文から何回引用されているか、という指標です。多く引用される論文ほど影響力が大きいと考えられます。そういう指標で評価をすると、大学全体では近畿大学は15位。ところが、臨床医学分野に限ってみると、近畿大学は145.8ポイントで東京大学にも勝っています。臨床医学分野では近畿大学はインパクトの大きな仕事をしているとお考え戴ければ有難いです。

ここからは近畿大学が色々な企業と共同研究してきた事例を紹介します。認知症は大変大きな問題であります。その中でアルツハイマー型が多数を占めています。このアルツハイマー型の認知症はアミロイドβやタウといった異常蛋白が神経の中に蓄積され神経細胞の機能異常を起こし、認知障害がおこります。アミロイドやタウが少量溜まった状態をつかむことが出来れば早期発見につながり、そこから対応できます。
近畿大学のPET診断部門によって、上の図にはアミロイド蛋白が造影されていて、下の図にはタウが造影されています。これらを定量的に評価できるようになれば早期、場合によっては発症前に発見し対応できる可能性があります。そのようなことを実現する取り組みをしています。

放射線診断学部門では肝硬変の研究を行っています。肝硬変に近い病気は色々あり、これは肝硬変で、こちらは非アルコール性脂肪肝炎で、こちらはいわゆる脂肪肝であります。この中で脂肪肝は比較的簡単に治すことができます。したがってこのような病態をきちんと見つけ出すことは大変重要なことであります。普通のCTを取ると、これらはほとんど一緒で区別がつきません。近畿大学では脂肪をいかに造影するかを考え、脂肪造影に成功しました。こちらが脂肪造影をしたCTです。臨床画像では、左から正常、肝硬変、非アルコール性脂肪肝炎、脂肪肝で、脂肪肝は脂肪が多く、色が薄く映っています。このためCTで診断がつくという事になります。

癌の転移の早期発見について。癌は色々なところに転移します。多くの転移は血行性で、血液の中に癌細胞が入り込み、それがどこかにひっかかってそこで癌を起こします。血液中に流れている癌細胞を捕まえられれば、癌が転移するという事が分かります。それは非常に難しい技術ですが、いくつかの大学との共同研究により癌細胞の表面抗原というものを免疫学的にとらえ、それを画像診断と組み合わせて、血液中に流れている癌細胞を発見するという技術を開発しました。これは非常に速くて1秒間に10000個の細胞を選別できます。これを実用化すると、血液中の癌細胞が見つかれば、原発巣を探すととともに、抗癌剤等の投与で転移を予防することができるようになります。

コンパニオン診断薬の開発について。癌は遺伝子の傷によっておこります。その傷ついた遺伝子から癌タンパク質ができ、それが作用して癌ができます。そのためそのタンパク質をやっつけるような薬を作ればその癌に特異的に効きます。そのような薬は今どんどん出来上がっているが、目の前の患者がどのような癌遺伝子を持っていてどのような薬が効くのかは遺伝子を調べないと分かりません。しかし、そのようなことは近畿大学のようなところでしかできません。そこで、一般の医療機関でもできるようにキット化して簡単にできる検査薬を作りたい、それをいま共同開発しています。

iPS細胞について。iPS細胞を作ってそれを培養しておくと、実際にはそのiPS細胞のまま増えるわけではなく、その中から不純物つまりほかの臓器になりそうになってしまう、分化してしまう細胞ができます。それでは使えないため、それらを除かなければなりません。それは今まで人間がやっていましたが、機械に自動的にやらせるというシステムを開発しました。それは実用化されており、今年の2月にオープンラボで企業の方にも来て戴いてお話をしました。

近畿大学には理工学部、工学部、産業理工学部、生物理工学部の工学系4学部があります。連携して手術、リハビリ、介護を支援する医療機器やロボットを開発しています。
こういった企業との共同開発ですが、それだけで終わってはいけません。地域の皆さんの役に立つ、さらに大きな花を咲かせるためにはやはり地域とのつながりを広げていく必要があります。そのプラットホ―ムとして、堺市が平成28年の2月につくられた「堺市まち・ひと・しごと創生総合戦略」があります。まずは仕事を作ろう、それから人を作って街を創ろうという計画です。これは今日のシンポジウムもとっても重要な戦略であります。近畿大学医学部がこれに貢献するとすれば、一つは健康医療産業の活性化のために近畿大学のシーズやアイデアを出すことであります。それから医療の国際展開であります。この地域は関空が近いということもあり、海外からの患者を受け入れ、我々の医療を提供することも考えられます。さらに医学部と医療系のキャンパスを作ろうと考えているため、健康増進サービスを展開し、この地域に住んでいると健康になれるというまちづくりに協力したいと思います。

このようなコンソーシアムの例として、大阪市立大学医学部を中心とした医療系コンソーシアムがあります。これは産学官が連携をして、医療技術の産業化を目的としています。ここと我々の違いは、産学官と産学公民の違いです。何が違うかというと、我々には民が入っているということであります。何のために我々がこのようなイノベーションを行うかというと、そこの地域住民に幸せになってもらうためです。そのため民をいかに巻き込むかが大切です。

大阪大学は企業向けに医療機器開発のための一連の講義を行っています。こういったことを近畿大学は現状では行っていませんが、医学部、経営学部もあるためどうしたらこのようなことができるか考えています。
これと似たことで、近畿大学医学部では近畿経済産業局と協働で実験室の公開を行っています。先程2月におこなったiPS細胞についても、このような形で企業の方にiPS細胞に関する講義をし、実際の実験を見てもらうということをしています。
医療の国際展開について。経済産業省の支援によって設立されたMedical Excellence JAPAN(MEJ)に近畿大学も登録されています。近畿大学はすでに海外からの患者も受け入れていますが、組織的に海外からの患者を受け入れる、医療を提供することは行っていないため、今後の課題と言えます。

近畿大学と地域との連携についていくつか事例があります。
医学部には人工関節センターがあり、人工関節の研究・治療を行っています。研究開発だけでなく患者の相談にものっており、痛みについての解説やその人にあった治療法についてアドバイスもしています。

医学部と薬学部の共同でアンチエイジングセンターをつくり、その研究だけでなく市民公開講座等を通じて研究の成果を伝えています。

農学部ではそこで得られた食品・作物を奈良病院の患者へ提供しています。
「スマートウェルネス住宅等推進モデル事業」の実現に向けて茶山台団地(堺市南区)の居住者を対象とした健康調査等を行っています。

奈良県と近畿大学でこどもたちの健康増進のため「奈良県スポーツアカデミー」を行っています。近畿大学付属幼稚園に奈良県考案のスポーツプログラムと近畿大学の栄養サポートプログラムを導入し、どのような効果があるのか知るため子どもたちの体組成、筋肉量、骨量、脂肪量を測定し効果を検証しています。

認知症について治療薬の開発も行っていますがなかなか難しいです。認知症の患者、家族をどう支えるかが大切です。しかし、それは医学部だけではできません。医工文理14学部でこのような問題に取り組むつもりであります。

近畿大学では、健康なまちづくりを目指してオール近大 環境まちづくり統合研究を立ち上げました。直接健康・生活にかかわる住宅機能、ユニバーサルデザイン、あるいは都市計画に関係する防災、生態系への配慮、リサイクル等も含めてまちづくりをするためには何が必要か議論を進めています。協働型のまちづくりをするための一つのモデルが出来てきていると思います。

平成35年に近畿大学医学部が泉ヶ丘に移転しますが、医学部移転の影響だけにとどまりません。提供できるのは医療だけではなく、住居や食にも力を注ぎたい。住居においては建築学部、工学部、理工学部があります。食においては農学部、クロマグロで有名な水産研究所もあります。このような14学部の総合力をもって地域に貢献したいと思います。こういったことを中心にさらに多くのプレーヤーに加わって戴きたいと思います。

堺市には多くの企業があり、製造業の出荷額は政令指定都市の中では3位であります。それほど多くの企業、優秀な企業があるということなので、ぜひ加わってもらいたいと思います。また医療機関も豊富であり、そのなかには近畿大学出身の医師も相当数いるため力を貸してくれるだろうと思っています。また周辺には多くの大学があります。関西大学には人間健康学部がありスポーツを中心としたいろんな活動をされています。また大阪府立大学には看護学部や次世代癌治療の期待が大きいBNCT研究センターもあるため、一緒にいろんなことができると考えています。また羽衣国際大学と帝塚山学院大学には食物栄養学科があり、そこで管理栄養士の養成をしているため、栄養面で大きな貢献をされるはずであります。こういった地元の大学、企業をうまく連携させてより大きな貢献をするため、行政でプラットホームを作ってもらいたいと思います。そして真ん中は住民です。我々がこのようなシステムをつくって健康まちづくりをするのは、住民に健康になってもらうため、住民に幸せになってもらうためです。我々が提供するプログラムでより健康になった人たちは、より健康の価値というものを感じると思います。健康の価値を感じると、健康になるために必要だったプロセスにも価値を見出すでしょう。するとその価値に対して必要なコストを払ってくれると思います。そうなるとこのようなシステムがきちんと持続的にまわっていきます。ぜひ住民に入ってもらって、そのような人たちが元気になっていくシステムに育ってほしいと思います。それを実現するためにこういった多くのプレーヤーが今後どのようなことができるか話し合えるコンソーシアムを作っていければいいと思います。そのため近畿大学は14学部の総合力をもって力になりたいと考えています。

第2部 パネルディスカッション

第1部に引き続き、第2部ではパネルディスカッション形式で、堺市健康・医療まちづくりについて、産学公民の立場で討議頂きました。
座長は、近畿大学医学部 学部長 伊木雅之氏、パネラーには、基調講演を賜りました経済産業省 商務・サービスグループ 商務・サービス政策統括調整官 内閣官房 健康・医療戦略室 次長 江崎禎英氏をはじめ、堺市副市長 狭間惠三子氏、南海電鉄鉄道株式会社 取締役 営業推進室副室長 プロジェクト推進室副室長 住田弘之氏、大阪府立大学院 看護学研究科長 上野昌江氏、日本電信電話株式会社 研究企画部門 チーフプロデューサー 是川幸士氏にご登壇戴きました。以下にパネルディスカッションの様子をご紹介致します。

伊木氏:
それではパネルディスカッションを始めたいと思います。今、パネラーのご紹介がありましたが、すごいと思いませんか。江崎さんは経済産業省、ずっと日本の中枢におられ日本の舵をとられる方でございますし、狭間さんは副市長・堺市のナンバー2です。それから住田さん、是川さんは日本を代表する企業の方でございますし、上野さんは大阪府立大学院の看護学研究科長でいらっしゃいます。これだけの人をよく集めたなと思います。どうぞ宜しくお願いします。進め方ですが、まずはパネリストお一人お一人のお立場で、泉が丘の健康・医療のまちづくりについてお話戴きたいと思います。江崎さんには先程、基調講演を戴きましたので、後程コメントを戴きたいと思います。それでは、副市長の狭間さんから順にお話し戴きたいと思います。どうか宜しくお願い致します。
狭間氏:
皆様こんにちは。堺市の狭間と申します。本日このパネルディスカッションは堺市の健康・医療まちづくりについてということで皆様と一緒に夢のあるお話が出来たらいいなと思っております。
私は堺市の中でも、子ども青少年局、そして健康福祉局、産業振興局、文化観光局の部門を担当しております。先程、江崎さんの講演を聞いておりますと子どもが生まれ育ち、高齢になり、その方に経済や産業を担い健康になりと、今日のお話に全て関連するなと思い聞いておりました。
健康・医療まちづくりですが、関西ですと産業医療都市というのは、神戸の方にポートアイランドがございます。そして、大阪では彩都が戦略特区をとって産業医療都市として既にプロジェクトが進んでおります。堺市がやろうとしていることは、そういう産業医療都市とまた一味違う健康・医療まちづくりができれば良いなと思います。
これは先程、先生のお話にもありましたけれども、近畿大学医学部が堺市の泉ヶ丘に移転するわけですが、後程詳しく申し上げますが、医療の研究に特化した大きな経済をつくるということではなく、そこには、「まち」があり「人」がいて「暮らし」がある、そこに医学部が加わるということで、産学公民の4者協働のまちづくりをしていきたいと思っています。
そういった今現在の堺市の健康医療の取組みについて、近畿大学医学部が移転する泉北ニュータウンというまちの傾向と課題、健康・医療まちづくりについてご紹介していきたいと思います。
まず、堺市ですが、先程少し申し上げた通り、子育てにも非常に力を入れております。具体的には子ども医療費の助成、多子世帯の保育料無償化、病児・病後児保育の拡充等、様々な子育て支援のプロジェクトを行っています。その結果、共働き子育てしやすいまちランキングで2年連続 関西第1位となっております。また、高齢になった方にも健康寿命を延伸して戴いて元気に長生きして戴きたいという事で、がん検診の無償化、がん検診を積極的に受けて戴くような取組、外出しやすくなるような取組を行っています。また、一番力を入れているのが地域包括ケアシステムです。2025年にむけて住み慣れた地域で幸せに住み続けることが出来る、そういったシステム構築に力を入れております。
そして泉北ニュータウンというところについて簡単にご紹介させて戴きます。泉北ニュータウンはまち開きして今年で50周年を迎えております。一番の課題は、人口減少・少子高齢化ということであります。泉北ニュータウンの人口減少というのはやはり高齢化が早く進んでいるということだと思います。堺市の高齢化率25.8%ですが、泉北ニュータウンの高齢化率は30.5%であります。日本全国のニュータウンは皆同じ課題を抱えていると思いますが、約50年前(高度成長期)に新しくまち開きをして、一気に人口が増えていきました。子ども・孫世代が家庭を持ちニュータウンに帰ってきていれば人口減少には繋がらなかったと思いますが、ライフスタイルの変化に伴ってなかなかニュータウンに帰ってきていないという現状がございます。住という機能に特化したいわゆるベットタウンというのは若い人のライフスタイルに合わず、そういう意味では、泉北ニュータウンについて今後どうしていくかという点について、やはり住という機能のみのまちではない、働いて・学んで・遊んで、そういう機能を持たせなければならないと思っております。そこに近畿大学医学部と病院が来てくだされば、2000人以上の教職員が来て下さる、またそこに通う若い学生達等が加われば、ニュータウンが抱えている課題が解決できるのではないかと思っています。
そして、大学・病院、企業等、バラバラではなくそれぞれが持っている機能を総動員で活かしていきたい、それが健康・医療まちづくりだと考えております。泉北ニュータウンのセンター(真ん中)の泉ヶ丘に、近畿大学医学部は移築する予定になっております。そこにどんな産業等が入るのか色々考えていきたいと思います。また、泉北ニュータウンは人口が減少してきているとは言いましても、未だ12万人以上の人が暮らしています。「人」がいて、「暮らし」があり、「生活」がある、そこに医学部・病院が加わるわけですから、既に地域の方と連携して茶山台の団地の方では健康調査もして下さっていると伊木先生からお話もありましたが住民にとって、もっと健康になれる、病院にも一緒に何か活かしていける、産業も可能性がある、そして行政はそこを繋いでいくことによってまちが活性化する。そういった4者がWIN・WINとなれるようなまちをつくっていきたいなと思っております。こんにちは。堺市の狭間と申します。本日このパネルディスカッションは堺市の健康・医療まちづくりについてということで皆様と一緒に夢のあるお話が出来たらいいなと思っております。
私は堺市の中でも、子ども青少年局、そして健康福祉局、産業振興局、文化観光局の部門を担当しております。先程、江崎さんの講演を聞いておりますと子どもが生まれ育ち、高齢になり、その方に経済や産業を担い健康になりと、今日のお話に全て関連するなと思い聞いておりました。
健康・医療まちづくりですが、関西ですと産業医療都市というのは、神戸の方にポートアイランドがございます。そして、大阪では彩都が戦略特区をとって産業医療都市として既にプロジェクトが進んでおります。堺市がやろうとしていることは、そういう産業医療都市とまた一味違う健康・医療まちづくりができれば良いなと思います。
伊木氏:
有り難うございました。それでは、南海電鉄の住田さんのお話を伺いたいと思います。宜しくお願いします。
住田氏:
南海電鉄の住田と申します。ご紹介戴き有り難うございます。いつも南海電鉄グループをご利用戴き本当に有り難うございます。皆様のおかげで南海電鉄もコツコツと成長を続けております。私自身は、大変申し訳ございませんが、大阪弁が喋れないというハンディを持っておりますけれども、22年に渡りまして南海沿線に住み毎日20年間は関空に通いまして昨年から南海本社に帰っております。また先程、江崎先生の話を聞いてそうかと思いましたけれども、来月から第2回目の人生に入る予定でございます。
まずは堺市と南海電鉄の関係について、簡単に触れさせて戴きます。南海電鉄の駅は約100駅あり、堺市に19駅、約1/5が堺市にあるということでございます。乗り降りで約130万人ぐらいですが、そのうち約40万人が堺市でということであり、堺市さんあっての南海電鉄と思っております。今日は健康・医療まちづくりということで、なんで南海と医療?と思われると思いますので、私共のメディカルツーリズムの概要そしてその全体となりますインバウンド等についてお話させて戴きます。
まず、南海の空港線、関空と難波・心斎橋を中心としたミナミに直結しているので、大変多くの外国人のお客さんにご利用戴いております。関空旅客数は2016年度に20%以上伸びた上に、今年の上半期も増えております。また、グラフの青、空港線の伸び、関空の旅客数の伸びを上回っているということで、外国のお客様を囲い込んでいるというところで、成長に奔走しております。インバウンドの増加を受けて空港線の収入は大変になっており、2016年度17.3%の伸び、今年に入っても第一四半期で全体として10%代の伸びを示しており、感謝致しております。
そして、通常以外の事業でもインバウンド事業も行っています。大阪市内のホテルは東京に比べてインバウンド対応のホテルの数が足りておらず、8000室程足りないのではないかと言われています。しかしながら、2020年までには2000室が整備されると聞きましてほっとしております。ところが今後、仁徳天皇陵の世界遺産登録化も予定されている堺市内におきましては、これから伸びてくるインバウンド需要に対応する宿泊施設の整備が一つの課題になるのではないでしょうか。
難波では、元本社があった所でスイスホテルの横、難波駅直結のところに30建のオフィスビルを建てております。「(仮)新南海会館」来年の9月に開業、9階までの低層部が医療施設、インバウンド向けのフロア、コンベンションセンター等がございます。このビルの9階には南東北グループのクリニックを開設予定です。ここでは外国の方々の検診等も行っていく予定です。その中で私共、南海国際旅行はメディカルツーリズムを手掛けております。メディカルツーリズムは皆さんご承知の通り、人間ドックや検診、歯の治療、療養等の為に外国へ行くことですが、その為には渡航者の医療ビザの取得が必要です。そのビザを取るためには、旅行会社等からの身元保証を受ける必要がありますが、私共、南海国際旅行は2011年に身元保証機関の認定を外務省から受けております。そこからメディカルツーリズム事業へ取組みが始まりました。現在は中国人の方々の取り扱いが大半ですが、医療系のお客様に寄り添ったワンストップサービスを提供致しましてその扱い件数も増加しております。
ワンストップサービスの内容につきましては、医療サービスに関する情報を専用のホームページで発信、患者さんの問い合わせに対応し、ビザを取得し、更に特長的なのは医療費の事前預かりを致しまして不払いの防止に取り組んでおります。また、医療に精通した通訳の手配、関西空港に着いたら出迎えから送迎までし宿泊食事の手配等もやっております。そして検診結果を送付するというような事もやっております。こういったことを、今後是非堺に来られます伊木先生のところでも外国人の方々や日本人は勿論のことそういった方々を少し扱って戴ければ嬉しく思います。
資料はこちらで終わりですが、泉北ニュータウンが50周年を迎えるということで、私共もそれをお祝いして色々な行事を行っております。皆様にも御参加戴いているかと思います。2014年の8月に泉ヶ丘駅前地区の商業施設、駐車場施設を取得し2015年10月と2016年4月の2段階で施設のリニューアルの実施をしております。1つは広場の専門店街の耐震補強工事。10月には、ファミリー向けの店舗の改良をしました。また、泉ヶ丘広場を全面改修しまして、専門店街という風に名前を変更しました。
今後そういう中で、平成35年に来て戴ける近大医学部附属病院につきましてはまちづくりの一つの大きな核になると思いますので、大変期待しております。実際来られることで1日6000人以上の新たな来訪者が見込まれるという風に聞いておりますし、やはり関係企業や若い人たちも集まってくるということで大変期待しております。私共としましては、近大医学部附属病院をはじめとして関係者の皆様と連携して頑張っていきたいと考えております。
伊木氏:
南海電鉄の住田さんには外国からのインバウンドへの需要についての取組みについてお話戴きました。それでは続きまして、大阪府立大学院の上野さんにお話戴きます。上野さんには看護の立場からお話戴けると思います。宜しくお願いします。
上野氏:
紹介戴きました大阪府立大学の上野と申します。大阪府立大学は中百舌鳥キャンパス、羽曳野キャンパス、りんくうキャンパスと3つのキャンパスがございますが、私は羽曳野キャンパスから来ております。会議は中百舌鳥キャンパスでありますので、毎週のように堺市に来ております。先ほど南海様からもご紹介がありましたが、南海様のビルをかりてI-siteなんばというサテライト教室をやっておりますので、とても縁が深いなと思いお聞きしておりました。
私は専門が地域看護学でございまして、堺市の健康医療のまちづくりに私達がどう寄与できるかを考えますと、地域の様々な健康課題に対しまして、その解決に向けて、人材育成、看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、看護助手等との繋がり等、住民へのサービス等、お伝え出来ることがあるのではないかと思います。
大学は産学官連携にとても力を入れておりまして、看護は経済や産業に対して疎い面がありましたが、大学本部の方から看護も地域や経済と連携が出来ないかということで、現在、訪問看護のステーション経営等、看護の分野においても産業や経済が身近になってきつつあるかなと感じているところでございます。
先程から出ております地域の健康課題として、人口構造、少子高齢化、疾病構造の変化、健康格差の拡大、自治会の加入率の低下に伴ったコミュニティの希薄化を問題として感じています。今回は高齢化という点に視座を置いて、私たちの取組みをお話させて戴ければと思います。
先程から泉北ニュータウンの高齢化等、お話し戴いておりますので、言うまでもありませんが、平成37年、2025年には、75歳以上の高齢者が約138000人、それに併せて要介護が必要な方が約.2倍に増えると予想されています。それに併せて在宅医療・包括ケアについて、在宅医療をどうしていくのかとても大きな課題になってくると考えております。
高齢化の進展の中で、居住環境の変化に伴い、人とのつながりが希薄化している、(孤立死の話を現実的に聞くこともある)、これらの課題を解決する為には、高齢者が積極的に社会に出ていく、社会的な役割を持つことは心身の健康に繋げていければ良いと考えています。その為の活動として高齢者の身体計測等を行っています。
それで、ここの平均年齢、ここに参加された対象の平均年齢は77.0歳の後期高齢者になっておりますし、写真を見て戴きたいのですが、これは足指の力を測定する、これが転倒予防に繋がっていくということで、足指測定というのを学生と一緒にやっているのですが、それがとても弱い、転倒リスクがとても高い集団だと分かりました。団地にはエレベーターはなく、脚が痛いとか外出頻度が減ってきていまして、社会的孤立のリスクが高まりますし、ここに来た人たちは良いのですが、来ない人もたくさんいらっしゃいますので、こういう方々を家庭訪問して、実態調査をして把握していかないといけないと考えたという、まだ出だしの段階です。こういう風に学生と一緒に健康測定、私達はあまりお金をかけられませんので、骨密度とか体脂肪とか足指とか握力とかを計るだけですが、学生がここでお話させて戴く機会ということで、皆さんに体重が増えるということはこういうことですよとか痩せはこんなものですよということを分かり易く説明し、一緒に考える機会を持っています。
もうひとつは羽曳野の近くの新興住宅地で、年に2回健康測定をずっと継続してやっていて、そこで土曜日に交流サロンで歌を歌う会をやっていらして、そこに行かせて戴いて、高齢者の健康測定等をやらせて戴いています。そこに来られる方の平均年齢は78.6歳、ここに来られる方は社会的に孤立するリスクは2割に減りますが、参加回数が少ない方、出ていらっしゃらない方の社会的孤立リスクは指標を見ると少し高くなったので、こういうところに継続的に参加できるということが社会的孤立を予防できると考えており、色々な働きかけをしたいなと思っております。 
これは計測している場面ですが、向かって一番左側が体の状態のバランスです。物を見たり、お話をお聞きしたり、足指を測定しているのですが、こういうことをしながら交流をもっていくということです。ここには写真を入れていないのでおりませんが、本当は若い学生がたくさんおりますので、地元に出て行って、高齢者のお困りごと等、そういうことができれば良いとずっと考えていますが、なかなかそこまでしていくのは難しいです。何とか地域の方と交流できないかなと思いまして、授業に高齢者の方に来て戴く、20名ぐらいですが、毎年2回ぐらい来て戴く、まずは学生と懇談して戴く、次に学生が高齢者と会う話を作ってそれをお伝えするというという形の授業を展開しています。ただ授業を展開するといっても、学生は本だけで調べた知識になりますので、それをして戴いた高齢者の方に教えて戴くことの方が多かったりします。例えば塩分を少なくしましょうとか、そういうことを言っても、自分の料理にどう工夫しているかは来て下さっている方の方がよほどご存知で、それを学生に具体的に伝え、そこから学生が教わっているという感じです。高齢者の方々にとって、大学は近い距離ですが、やはりおしゃれをしていらっしゃるので、こういった出かける機会をつくるというのがとても大事になっているなと感じています。
これはまた別のところで撮った写真ですが、来てくださった方の感想です。「私は68歳です。若い元気な学生さんとお話させて戴くのをとても楽しみにしています。学生さんは聞き上手で大変楽しい時間をすごしました。」という感想をたくさん戴いておりまして、やはり学生がかなり力になると私共は感じておりまして、こういう交流会がもっと続いたら良いと思っています。人と人を繋ぐというのは、こういったネットワークをつくって、難しいことでなくとも、少し入り込むだけでいろんな健康課題は解決できるのではないかなと思っています。そのために私達の人材育成が少しでも役立てたら良いと考えております。また、どうやったらいいか?という課題は次のときにお話したいと思いますので、一応これで終わらせて戴きます。
伊木氏:
どうも有り難うございました。先程、産学公民の民に対応するのは民だとお話しましたが、地域の住民との関わりを続けておられて、調査をし、健康問題を把握し、学生達が交流していく、そういう所に孤立死、孤立リスクに対する対策がみえてきたのではないかなと思いました。どうも有り難うございました。続きまして、NTTの是川さんにお願いしたいと思うのですが、NTTの強みはなんといってもICTだと思いますのでその辺のお話が聞けるのではないかと思っております。宜しくお願いします。
是川氏:
NTTの是川でございます。本日はこのような貴重な機会を戴きまして、有り難うございます。平素よりNTTグループのサービスをご利用戴きまして誠に有り難うございます。私の所属が日本電信電話株式会社ということで、グループは900社以上のNTTグループの集団ですが、NTT西日本と堺市様でICTを活用したまちづくりに関する包括連携協定を結ばせて戴きまして、まさに今ICTのまちづくりを進めているところでございますので、今日、私共が参加させて戴いたのかなと思っております。
情報通信産業を生業にしている立場としまして、先ほど座長からもありましたが、今日はICTに関しまして医療健康分野とICTとの関わりをご紹介させて戴くとともに、NTTグループとしまして医療健康分野にどういったビジョンを持って、今まさにどういう取り組みをしているのかにつきまして、簡単ではありますが、ご紹介させて戴きたいと思っております。
まず、タイトルにあります「未来予想」ということで今から1つビデオをご覧戴きたいと思っております。若干画面が小さいので見にくいところもあるかもしれませんが、これからご紹介するビデオは、私どもが勝手に想像して近い将来こうなっているのではということですので、この社会にどんなICTが活用され、浸透しているのかというところをぜひご覧戴ければと思います。
(ビデオ放映)
有り難うございました。一部、武蔵野という地名が出てきまして、堺ではなくて大変恐縮なのですが、実は研究所が武蔵野にございまして、私共の研究所の地名から取っております。本編は長くて、ショートバージョンで繋ぎの部分がお見苦しくなったと思いますがお詫び申し上げます。
ご覧戴いた通り、キーワードを振り返りたいと思いますが、私共の仮の想像世界ではございますけれども、なかなか実現しそうではないだろうかと勝手に思っている未来の社会でございます。まずはロボットが人の生活に寄り添って生活の支援をしているという状況がありました。お医者さんのビデオメールでしたけれども、距離と時間の制約から解放されて、患者にとってお医者さんがより身近に感じられるような環境が実現していたのではないでしょうか。さらに個人の検査データを総合病院に転送するというようなシーンもございましたが、その場合も、本人の手の静脈認証という形で、本人の同意をとりながらデータをやりとりするというセキュリティーの確保もされていました。直接、健康医療と関係ないかもしれませんが、バーチャルリアリティーの会議であったり、スマートフォン等、IoT等のICTで働き方の改革であったり環境に優しいエコシステムの実現に関してICTが活用されていました。また、バイタルデータを取得するセンサーも小型化高性能化されているのではないかなと感じております。このように未来の社会の医療健康分野とICTは密接に関係しているであろうことは容易に想像できるわけです。
さて、ここからは少し現実に戻しまして、私どもNTTグループが医療健康分野において、まさに今、どのようなビジョンにおいてどのように取り組んでいるかについてご紹介したいと思います。ずばりそのビジョンはこの絵(No.3)に集約されておりまして、この絵の意味するものは人が生まれてから亡くなるまでの生涯を表しています。人が何年何月何日何時何分に何gで産まれたのか、何の予防接種を小さい頃受けたのか?怪我をしたのはいつか?いつどんな病気をしてその時処方された薬は何だったのか?こういった情報であったり、また成人になると日々どんな生活習慣を送って、どんな食べ物を食べて、運動して、また仕事等のストレスもあるでしょう、こんな生活をしていると、近い将来こんな病気のリスクがある、先程、生活習慣病という話もありましたが、こういったリスクがあるなど、自らの健康や医療のあらゆるデータは、今は色々なところにあって、本人が自由に参照、活用するようなことができていない状況にあるかと思います。もちろん記録そのものが残っていないという場合もあると思います。私共はまず個人の健康や医療に関するパーソナルデータを本人が自由に参照、活用できるような仕組みをサービスとして提供したいと考えています。私達の生きてきた足跡を電子的な記録で残し、それらのデータを自由に活用してこれからの未来を予測するというような電子生涯手帳の実現をしたいと考えております。
さて、このように将来におけるあらゆるICTを活用したサービスを実現していきたいというのが我々のビジョンになります。そのビジョンに向けてあらゆるパートナーのみなさまとのコラボレーションを進めております。私どもICTの専門家ではありますが、医療健康分野の専門家の方々とコラボレーションを進めて、サービスを実現していきたいと考えております。NTTグループとしまして、このような取り組みを通じて、世の中の社会的な課題である社会保障費の適正化であったり、健康寿命の延伸に向けてICTを活用したサービスを実現してまいりたいと考えております。
最後になりますが、NTTグループはヘルスケアの分野以外にもあらゆる分野の社外のパートナーの皆様とコラボレーションを進めております。このような取り組みを通じてICTを活用して社会の課題解決にパートナーの皆様と取り組んでまいりたいと考えております。ということをお伝えしまして、私からの説明とさせて戴きます。ご清聴有り難うございました。
伊木氏:
有り難うございました。電子生涯手帳が実現すると我々が病院で患者さんの問診をする必要がなくなるわけですね。早く実用化して欲しいと思います。有り難うございました。パネリストの内4人の方のお話を伺いました。残る1人は江崎さんですが今の4人のお話を聞かれて何かコメントはございますか。
江崎氏:
有り難うございます。狭間副市長さんと是川さんのお話に非常に重要なポイントがありました。それは、病気の性質が変わっているということです。これまで病気は、感染症が中心でしたので、感染して症状が出てから病院に行けば、医者が的確に診断を下し、適切な薬が処方されたのです。他方、現在医科診療費の1/3を占める生活習慣病では、容易なことではありません。的確な診断を行うためには、病院に来ていない間の患者の情報が必要です。しかし、現状ではそうした情報は患者の自己申告に頼らざるをえず、極めて不安定なものでした。しかし、ウエアラブルやIoTによってそうした情報取得が可能になりましたので、医療は大きく変わる可能性が出てきました。ただ、この場合最も注意しなければならないのは、データの質です。既にあるデータ(ビッグデータ)は殆ど使い物になりません。
また、医療サービスにおいては匿名化されたデータも殆ど価値がありません。個人情報を特定することのできる質の高い医療データを集めることが医療にとって極めて重要なのです。
続いて、住田さんと上野さんのお話ですけれど、これも大変重要なご指摘で、お年寄りにとって移動することは健康維持の観点からとても大切です。反対に、お年寄りにとって閉じ籠もることは極めて危険なことです。しかし、ただ動けば良い、ただ移動すれば良いというものではありません。何のために移動するのか?特に、わくわくする目的があることが大切です。認知症の方は徘徊すると言いますが、それは間違いです。徘徊しているのではなく、目的を途中で忘れているだけです。最初は目的があったけれども思い出せないだけです。それなら、忘れても次々と新たな目的が出てくるような街にすれば良いのです。
伊木氏:
何事にも目的が大切ということでした。有り難うございました。次は第2ラウンドにいきたいと思います。先程、近畿大学が泉ヶ丘の地域にやってくる、そうすると人がたくさん来るというお話がありました。近畿大学は先端的な医療を提供する1000床規模の病院であります。そこには2500人の教職員が働いており、学生を含めると3200人。そういった人たちが毎日出入りするということになりますし、患者さんは1日2500人来て、その付き添いや関係者を含めますと一日1万人ぐらいが出入りすることになるだろうと思っております。そういった大学がやってくるというのは大きなインパクトになると思いますが、それを念頭において、皆さんが取り組んでこられたことがどう関係するか。あるいはこの地域をより健康で幸せな地域にする為にどんな夢があるか。今回は夢を語って戴いたら良いのではないかと思います。最初と逆の順番で行きたいと思いますので、まずNTTの是川さん如何でしょうか。
是川氏:
33分ということなので割愛して説明させていただきます。夢は、最初にみて戴いたビデオが夢なので、少し具体的な話になってしまって恐縮なのですが、先程、江崎先生からありましたように、私ども個人情報を扱うにあたって、やはり個人のきちんとした同意をとりながら同時に個人に対する付加価値を提供しながら、そのデータを確立していこうと、個人を中心としたサービス、電子手帳、電子生涯手帳というものを構想しております。全国のデータを集めることは難しいのでパーツパーツで、ライフステージの中からICT化をしながら個人に返していくといった事を実現していきたいと思っております。今日は全てをお話できないので、先程議論にもあがりました生活習慣病に関する事例を一つご紹介させて戴きながらICTの活用に関する期待を述べさせて戴きたいと思います。何が問題かというと、医療費の適正化であったり、健康寿命の延伸という事が言われておりますが、先程江崎先生がおっしゃった通り一次予防、二次予防、特に重症化予防といったところが我々としては重要でないかと思っております。その中でも生活習慣病は、個人の意識を変えなければならない、そのうえで行動をして貰わなければならないといったところが非常に難しいテーマであるのではないかと思います。それをブレイクダウンしていくと、どんな難しさがあるのかという所です。
第三者から、特に偉い方、家族から直接の介入があるというのが1つのサポートになるのではないかと考えております。一方で、先程一次予防の話もありましたけれども、特に予備軍と呼ばれる特定の保健指導対象者がなぜ特定保険指導を受けないのですかという所が非常に課題だと思います。厚労省が出している受診率で言いますと50%程のようです。このような方々になぜいけないのかという所をヒアリングすると、やはり受診が面倒ということや、時間が足りない、本当に効果があるのかといったところまで言われてしまうような状況です。そのような方々に対して、指導する方との距離が縮まれば、より近い関係になれればというのが我々の考える対策としてあります。
そこでICTを活用した時、何が出来るのかというと解決策としては今の健康状態や生活習慣の状況と介入が出来るのではないかと考えています。そこでICTを用いてリアルタイムで生活習慣管理を支援するといったサービスを考えました。これは日々の生活習慣をスマートフォンで登録するという前提で色々な情報をスマートフォンからのアドバイスをピックアップしていくというサービスになります。
このような取り組みはNTTグループ、ドコモ、東京大学様と一緒に行っています。このシステムのコンセプトは場所や時間の制約がなく患者の自己管理について主治医との連携を強化するという事です。日々のバイタル、食事、運動のデータをスマートフォンに登録しますとこの結果をリアルタイムで患者にスマートフォンのアプリから具体的なアドバイスをしていきます。
また、異常値が検出された時はお医者様へ通知し連携が取れます。このようにICTを積極的に医療現場で使って戴きながら、患者とお医者様の距離を縮める事が出来ればより患者様にとって重症化を予防することが出来るのではないかと考えています。また、先程お話ししました特定保健指導に見られるように発病する前にどれだけのことが出来るかというのが重要になりますので臨床の現場で得られたエビデンスを元に健常者・予備軍へのセルフメディケーションへとシステム展開できればと考えております。
このように、私共と致しましてはICTを積極的にまちづくり又は医療の現場、健康に活用して戴くことによってさらに住民の方々が住みやすい、生涯現役でいられるようなまちをつくれるのではないかと思っております。
有り難うございます。
伊木氏:
時間がございませんので、コメントを差し控え、次の方に移らせて戴きます。
是川氏:
私は夢を語るというよりは、解決策を教えて下さいというような形になるかと思います。先程のICT素晴らしいなと思いますが、地域の方々には色々な性別年齢、生活レベルの方がいらっしゃるのでアクセス出来る方、出来ない方、色々いるかと思います。そこにどう取り組むかいう事が私たちに何か出来る事かという風に思っております。
先程、孤立死の話をしましたが、私達が健康にこだわると食事が大事なのです。この前、高齢者のお話を聞くとやはり一人暮らしだと夜の食事を一人でするのが味気ない、だからなかなか食べなくなる、元気が出なくなるとお話しをされていました。何とかできないかと大学の中で雑談めいて喋っていましたが、そこで夜の会食会といったそういうものが良いのではないかという話になりました。お昼のお弁当はあり、宅配はよくない、配食サービスは色々ありますが配食では良くないのではないか、やはり誰かと一緒に食べるという事がとても大事なのではないかと思うのです。大学の近くに新興住宅があり、一戸建てがたくさん並んでいるのですが、そこに一人暮らしの方がたくさんいらっしゃいます。その方々とどこで会食会をするのかという話になりますが、やはり「アシ」の問題が出てきました。どうやって連れて来て戴くか、歩くには少し距離があるところなので、そういった問題をどう解決しながらみんなで楽しく食事をして、皆が楽しく生き生きできるのかということが今私の考えている課題です。そのあたりをお助け戴けるようなアイデアがあればぜひ教えて戴ければと思います。
伊木氏:
良いアイデアがあれば是非出して戴ければと思います。それでは次は南海電鉄 住田さんお願いします。
住田氏:
私の方は、キーワードとして農業です。南海電鉄と南海バスを使ってお家に行ってそこで自分で耕して、作物を作って関係者、知り合いに食べてもらって喜んでもらう、そういうスタイルを目指して既に事業を始めております。今泉佐野市でやっております。
堺市さんにも耕作用の土地はありませんか。耕作の地を私どもが借りてそれを貸農園のような形にし、やってもらう、自分で作る楽しみもあり、若い人たちも来てくれる、そこに触れ合いがあるのではないでしょうか。それが健康への1つの秘訣ではないかと思います。
もう1つは、心の底から笑える事が多いようなまちづくりというのが大切なのではないかと思います。江崎さんのビデオの中の人もやはりみんな笑顔でした。きっと「笑顔」が120歳までの最も近い道なのではないかと思いましたので、その事についてどうやっていけば良いのか、私共はどうやって一緒になってやれるかというのを考えていきたいと思います。
伊木氏:
農業でみんな活発に笑おうというお話ですね。有り難うございます。それでは副市長の狭間さんにお願いしたいと思います。
狭間氏:
今、農業の話が出たので、近畿大学さんが来ていただける泉北ニュータウンも非常に広範囲に農業エリアが広がっているところです。実は、堺市は農業生産高が大阪府で一番多い自治体でして、そういう意味では農家さんという農業もありますし、市民農園のような形もありますし、泉北ニュータウンの場合は一戸建てが空き家になりつつあるということもあります。もしかしたらそういう所ももっと上手く市民農園的なもので活かしていけるのではないかと住田さんのお話を聞いて思いました。そういった農地、緑の空間も含めて泉北ニュータウンへ近畿大学さんが来てくれるという事を起爆剤として、今ある泉北ニュータウンだけでなく堺市にある資源を健康医療というまちづくりに生かしていきたい、連携していきたい、それで変わっていくのではないかと思っております。
なぜ、堺市で健康医療のまちづくりなのかと言われると、堺市はものづくりの企業がたくさんあります。製造品出荷額が平成26年度で3.8兆円この額は政令市の中で3位ですが、人口一人当たりに直しますと政令市1位の製造品出荷額です。また、ものづくりだけではなく、医療福祉系の企業の数も政令市で2番目に多い街です。大きな製薬会社さんがあるといったわけでも、大きな医療機器メーカーがあるわけではないのですが、しっかりしたオンリーワンの技術を持った中小企業さん、そして医療福祉系の企業さんがたくさんあるという現実。そして近畿大学さんはもとより、今日は府立大学看護学部の上野先生に来て戴いておりますが、中百舌鳥キャンパスにはBNCTセンターの先進的ながん治療システムの開発、あるいは生命工学といった部類もありますし関西大学さんはスポーツを中心に人間健康学部のキャンパスがあります。また近畿大学さんの看護もありますし、周辺の羽衣国際大学さんや帝塚山学院大学さんには栄養学科もあり管理栄養士の方を養成されています。
そういったたくさんの堺市、泉北ニュータウンエリアにある機能であったり、コンテンツをバラバラではなく連携して生かしていくことで、このエリアが生き生きしたものになるのではないかと思います。住んでいる人たちにどう関わって戴くか、皆が作ってくれたサービスを受けるだけではなく住民一人一人が農業をすることや、一緒に栄養を考える事が大事だと思います。
医療ツーリズム、ヘルスツーリズムで関西空港からも道路網で言いますと1時間もかからないうちにこのエリアにつくことが出来ます。そういったところからホテル建設も考えて戴けると医療ツーリズム実現も早いのではないかと思います。
堺市は6月からがん総合相談センターを立ち上げました。予防的に検診を受けて戴いて、早期発見早期治療につなげて戴くことで、医療費の削減もできますし、人々も幸せになれるのではないでしょうか。センターには4つの機能を埋め込んでおります。たとえば、医療機関の案内、集団検診の紹介、検診の促進、がんにかかっている方への病院の相談を受けています。そういったところにICTを使えば単発の相談や干渉ではなく、一対一で相談できる環境が出来て、なるべく健康で長生きして戴ける環境が出来るのではないかと思っております。今日来て戴いている様々なジャンルの方にご協力戴いて作っていければと思っております。
伊木氏:
まとめのようなお話をして戴いたのですが、健康・医療まちづくりを発展させて花を咲かせる為に江崎さん何かアドバイスを戴けますでしょうか。
江崎氏:
あったらいいなというサービスはいりません。無いと困るサービスをつくって頂きたいと思います。糖尿病の重症化一歩手前の段階にある人は、3ヶ月の健康管理で驚くほど改善します。そのデータを用いれば、これまでのインセンティブ型の政策から、ペナルティ型の政策手法が使えるようになります。自覚症状が無い方は誰かに叱って貰うことで行動変容に繋がるのです。また、先程の講演で人が寿命を全うすると暦が2周すると言いました。人生の本番は2周目です。1周目は誰かを食べさせ、子育てをしなければなりませんが、2周目は自分と社会の為だけに全てのエネルギーが使えるのです。
また、皆さんはお年寄りの為に良いサービスを提供することばかり考えていませんか。お年寄りにとっては、自分が誰かに支えられて「有り難う」と言うことも大切ですが、自分が世の中の役に立って「有り難う」言われることも大切なのです。これからのまちづくりにはこの視点が重要です。イノベーションは技術革新ではありません、常識を変えることです。超高齢社会に相応しい新たな社会経済システムを創れば良いのです。全ての世代がお互いにお互いを支えていくような仕組みが求められているのです。是非とも市民がお互いに支え合うことで、堺市で生活することが素晴らしいと実感できるような取組を行っていただきたいと思います。
伊木氏:
先程、副市長のお話にもあったようにこの地域には多くのリソースがあります。企業、アカデミア、そして住民、行政、それらがうまく繋がって健康・医療のまちづくりを進めていきたいと考えております。大切なことは、そこにいる住民がやりがいをもってその社会を生き抜いてくれるそんな地域をつくらないといけません。そういう地域をつくっていきますと産学公民がWIN・WIN・WIN・WINの形になっていけると思います。今後のまちづくりを考えていくコンソーシアムをつくり上げていく第一歩にしていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。これでパネルディスカッションを終わります。
開会の辞:堺市副市長 狭間 惠三子 氏

本日は堺市健康・医療まちづくり推進産学公民共創シンポジウムに多くの皆様に御参加戴き、有難うございました。80になっても100になっても120になっても今が一番楽しい、今日はこんなことがしたいとずっと思えるようなそんなまちづくりを一緒につくって戴ければと思います。
この秋にはコンソーシアムのメンバーを募集したいと思っております。どのような企業の方でも多くの皆様にご参加戴いてディスカッションしながら作りあげたいと思います。
皆様、有り難うございました。

シンポジウム閉会後には、同施設におけるカフェレストランSun Sunにて名刺交換会が開催され、講師の方々も交えて、多くの参加者による活発な交流と意見交換が行われました。