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「未来医療健康都市関西・第2回 Future Forum」開催報告

2015年10月27日

「未来医療健康都市関西・第2回 Future Forum」を2015年9月14日(月)、大阪大学中之島センター 佐治敬三メモリアルホールにおいて、平日午後からの開催にもかかわらず、自治体様や経済団体様、企業様等の160名を超える参加者にお越し戴き盛大に開催させて戴きました。心より御礼申し上げます。

大阪大学大学院 医学系研究科長 医学部長 澤芳樹先生に「中之島アカデミック スマートシティ構想など未来医療健康都市関西への期待」と題してご講演戴きました。
大阪大学医学部中之島新キャンパス構想を始め、大阪大学医学部のクリエイティブ な歩みや近未来への創造的なチャレンジは、未来医療健康都市関西の貴重な推進力となることなどについてご講演を賜りました。
講演後の意見交換では、参加者の皆様から活発なご発言を頂戴し、有意義な議論を深めることが出来ました。誠に有難うございました。

以下にご講演要旨を紹介させて戴きますが、長時間のご講演を少ない文字数を記す制約をご了承下さいませ。

●心筋再生医療の現状と近未来
重症心不全患者への治療方法として人工心臓や心臓移植に代わり、患者自身の心臓を残しながら治療していく再生医療が期待されている。大阪大学では、自己筋芽細胞シートによる心筋再生治療の研究を2000年から行い、2007年から臨床試験を行い、2014年から企業治験が行われた。2014年の薬事法の改正(医薬品医療機器等法)により、2015年9月に薬事承認が得られ近く正式承認となる見通しであり、今後は海外展開期待されている。
一方では心筋再生医療において自己の細胞での治療では限界があるためも、文部科学省の再生医療実現拠点ネットワークプログラムの4拠点のうち3拠点が関西であることを活かし、2008年より京都大学の山中教授とiPS細胞を用いた筋再生医療開発も行われいる。現在では動物による前臨床試験が行われ、自己筋芽細胞シートでは小規模でしか行えなかった治療をiPS細胞由来心筋細胞シートによる心筋再生治療を行うことにより、より機能の高い効果が得られることが分かってきた。今後さらに研究が進めば人工心臓に代わる循環器医療域の治療手段となるのではないかと期待されており、この大阪・関西からiPS細胞を用いた心筋再生治療を世界へ発信していきたい。
一方、大阪大学では未来医療開発部国際医療センターが設立され、海外からの患者のインバウンドや未来医療のアウトバウンドが行われ国際医療研究の推進や大学連携、医療通訳士、国際医療コーディネーターなどの国際医療イノベーション人材の育成等国際医療貢献をしている。

●再生医療と医療イノベーション
医療としての実用化が見込まれる有望な基礎研究の成果を臨床へと繋げる橋渡し研究の実践の場として、2002年に大阪大学医学部附属病院未来医療センターが設立された。2007年には文部科学省の橋渡し研究支援推進プログラムの拠点に承認され、先進医療よりさらに進んだ未来を目指す臨床研究を中心とした未来医療の実用化・産業化を目指している。また、2014年には最先端医療イノベーションセンターが設立され、一つ屋根の下というキャッチフレーズのもと、大阪大学と企業が一緒に共同研究し実用化に向けて取り組んでいる。
医療法の改正により医薬品医療機器等法に改正され再生医療製品の実用化に対応した承認制度が条件・期限付き承認へと変更となったことにより再生医療製品の特性に合わせた早期薬事承認が実現可能となった。再生医療は非常に大きなターニングポイント迎えており、新しい細胞シート技術やiPS細胞を用いた技術、改正された法律が突破口となり、日本が再生医療製品において世界初の医療承認される国となることが期待されている。

●国家戦略特区によるくにづくり
関西圏は医療等イノベーション拠点として国家戦略特区の指定地域とされている。世界的な医療開発拠点である関西・大阪において世界一価値の高い医療教育や世界に類無き特区医療機関、世界一住みやすい憧れの街として、新たな医療健康ビジネスが世界一生まれ続ける街となることが重要である。国家戦略医療特区であることを活かし、我が国発の新たな医療技術や製品を日本から世界に適正な時間・コストで開発し発信する「条件付き・早期薬事承認制度」を特区内で試行する必要性がある。
日本初の医療法上の臨床研究中核病院として大阪大学医学部附属病院が認可され、大学としての地位や研究、産学連携等の更なる促進が期待される。大阪大学医学部附属病院が開発戦略のブレインとなり研究ネットワークを構築し、アカデミアとして高い精度の臨床研究を行う仕組みを作り、特に革新的な医療機器を中心に特区内臨床研究中核病院を活用し、世界の期待に応える早期承認・早期実用化を加速させる。ヨーロッパのCEマークとは異なる、早期実用化の仕組みを日本から発信していくことが可能となる。
大阪国際医療産業特区構想案として、うめきた1期・2期と中之島をエリアに、うめきた1期は知の集積、うめきた2期は関西の象徴として国際連合大学・大学院といった若者文化の発信基地と健康な人のスクリーニングセンターからのデータによるバイオインフォマティクスによるビッグデータを活用する先制医療予測医学の構築の拠点とする。病気になる前に発見し予測する予測医学・先制医療の発展により健康寿命の延伸を行い、健康な社会をつくることが出来て、医療費の軽減に繋がる。また、中之島では実証の場、中之島スマートシティとして医療特区や再生医療、未来医療、国際医療交流といった国際・健康医療の未来都市の拠点とし、健康・医療イノベーションを推進する世界で活躍する人材育成を行う。

●ひとづくりまちづくりくにづくり
かつて医学伝承の地であった中之島の空地を活用し、高齢化社会においてIT・医工看工連携のロボティクスが繋ぐITとヘルスケアのアカデミック スマートシティ「医の知の杜」を構想する。
医療特区である強みを活かし、中核拠点である大学・研究所・病院・ホテル・住宅をつくり、アカデミアと企業の医工・産学連携によるメディカルヘルスケアの最先端の国際都市を目指す。クロスイノベーション、オープンイノベーションの未来医療・産業の開発拠点・臨床研究中核病院拠点とし、未来医療・国際医療のインターンシップの場となり人材育成を行い、その成果をスマートシティで実証していく。世界一健康で安心・安全の街として世界中から注目され人の集う憧れの街となることが重要である。そして、医商工連携によるメディカルヘルスケアの新たな産業の創出を目指す。

講演会後には、同大阪大学中之島センター 交流サロン サロン・ド・ラミカルにおいて情報交換会が盛大に開催され、講師を交えて参加者による活発な意見交換が行われました。誠に有難うございました。